
顎関節症は一度かかってしまうとなかなか治らなさそうな病気ですが、実際、治療に要する期間とはどのくらいなのでしょうか。
また、顎関節症で手術が必要となる症例というのはどれくらいの重症度なのでしょうか。
ここでは顎関節症を軽度、中度、重度の3段階にわけて、それぞれで選択される治療法や治療期間の目安などについて詳しく解説していきます。
スポンサーリンク
1.顎関節症の重症度に応じた症状
1- 1.軽度の顎関節症に見られる症状
軽度の顎関節症では、常に症状が現れているわけではありません。
何か硬いものを噛んだ時や食いしばりをした時、あるいは日常のふとした瞬間に顎関節の痛みや筋肉の硬直を感じることがあります。
いずれにせよ症状は軽く、それが顎関節症によるものであると気づかない人も多いことでしょう。
1- 2.中度の顎関節症に見られる症状
中度の顎関節症では、顎の痛みや口の開けづらさなどを頻繁に感じるようになります。
とくにクリック音と呼ばれる顎関節の雑音が気になり出し、顎関節症の疑いが高いことを自覚します。
顎の痛みや噛みにくさによってストレスがたまり、歯ぎしりや食いしばりといった悪習癖が増悪することもありますので注意が必要です。
1-3.重度の顎関節症に見られる症状
顎関節症も重度になると、その痛みは耐え難いものとなります。
口を大きく開けようとすると激痛が走り、クローズドロックの状態になると、口を開けることさえできなくなります。
また、顎関節部の炎症が悪化し、顎周囲が腫脹することもあります。
この状態を放置すると、顎関節の病態は悪化し続けますので注意が必要です。
2.顎関節症の重症度に応じた治療法
2-1.軽度の顎関節症の治療法
軽度の顎関節症であれば、治療と呼べることは何もしない場合もあります。
その代り、顎関節症を誘発している生活習慣を改めるということは必ず行います。
具体的には、頬杖をつく癖や歯ぎしり、食いしばりといった悪習慣の改善です。
その他、片方の歯だけで噛む癖があったり、ストレスをためやすい傾向があったりする場合も、ひとつひとつ改善していく必要があります。痛みが気になる場合は、薬物療法で痛みを和らげていきます。
運動療法に関しても、マッサージ程度であれば軽度の顎関節症でも行われます。
2-2.中度の顎関節症の治療法
中度の顎関節症では、顎関節もそれなりに痛みますし、何もせず放置すると重症化する危険性もあるため、具体的な治療を行っていきます。
最も一般的なのがスプリント療法で、夜間にマウスピースを装着することで、顎にかかる過剰な負担を軽減していきます。
クリック音が激しく、関節円板のズレが大きい場合は、パンピングマニピュレーションと呼ばれる治療が行われることもあります。
いずれにせよ中度の顎関節症では、症状を重症化させないように、様々な処置を施すことで根本的な原因を取り除いていくこととなります。
2-3.重度の顎関節症の治療法
重度の顎関節症では、外科手術が適応されます。
重症化した顎関節症は保存療法では改善できないため、顎を切開して直接骨を削ったり、関節の中を洗浄したりします。
手術自体は数時間で終わりますが、その前後は数日間入院する必要があり、手術後もまた保存療法を継続していくため、治療期間全体としては半年以上かかるものとお考えください。
ちなみに軽度と中度の治療法はいわゆる保存療法と呼ばれるもので、外科処置を施す前に数ヵ月から半年程度継続することとなります。
3.顎関節症を重症化させないポイント
顎関節症は重症化させると非常に厄介な病気ですので、できれば軽度や中度の段階で治してしまいたいものです。
つまり、軽度や中度といって楽観視せず、顎関節に異常を感じたらまずはすぐ病院を受診しましょう。
そして、顎関節症の原因となっている悪習癖の改善やスプリント療法を地道に続けていきましょう。
とても時間のかかる治療となりますが、この段階で症状を改善させることで、顎関節症を重症化させないで済みます。
4.まとめ
このように、顎関節症では重症度に応じていろいろな治療法が用意されていますが、できるだけ軽症の段階で治してしまう方が賢明です。
重度になると外科処置によっても完治できないことがありますので注意しましょう。
スポンサーリンク