
顎関節症は日本人にとても多い病気です。顎の関節がカクカク鳴ったり、口を開きにくくなったりと、様々な症状を呈します。
そんな顎関節症は、1~5型までタイプ分類されているのをご存知でしょうか。
ここでは顎関節症の5タイプについて、症状の違いや治療法、予後の違いを詳しく解説します。
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1. 顎関節症1型について
1-1 1型は咀嚼筋障害
顎関節症の1型は、咀嚼筋活動の異常が原因となっています。咀嚼筋が過剰に緊張することで、筋肉に痛みを感じたり、開口障害を伴ったりします。
ちなみに咀嚼筋とは、ものを噛む時に使う筋肉で、顎関節の周囲や頬のあたりに分布しています。
1-2 顎関節症1型になりやすい人
顎関節症1型は、咀嚼パターンに異常がある人がなりやすいタイプです。これは噛み合わせが悪かったり、咀嚼筋が上手く使えなかったりすることで生じる異常です。
また、顎関節症1型は日常生活で受けるストレスによっても発症することがあります。
1-3 顎関節症1型の治療法
顎関節症1型では、筋マッサージ法や筋訓練法などの治療が行われます。筋マッサージ法では、過剰に緊張している咀嚼筋をマッサージによってほぐします。
筋訓練法では、咀嚼筋のストレッチなどを行います。その他、噛み合わせの悪さが原因となっているケースでは、噛み合わせの調整を行うことがあります。
2. 顎関節症2型について
2-1 2型は関節障害
顎関節症の2型は、「関節包・靭帯障害」と呼ばれており、主に関節に異常が認められるタイプです。具体的には、関節包という顎関節を覆っている組織や顎関節に分布している靭帯に外傷性病変などが生じています。
2-2 顎関節症2型になりやすい人
顎関節症の2型では、関節包や関節靭帯に外傷が生じています。そうした外傷の原因は、打撲やむち打ち損傷などの事故が挙げられます。
それから、硬いものを食べる習慣があったり、口を大きく開けすぎたりする習慣がある場合も、こうした関節組織に外傷が生じることがあります。噛み合わせの悪さや歯ぎしり、食いしばりなども顎関節症2型の原因になり得ます。
2-3 顎関節症2型の治療法
顎関節症2型では、関節組織で外傷による炎症が生じていますので、抗炎症薬が使われることがあります。
それから、噛みしめや食いしばりなどの口腔習癖の改善や、硬いものを食べる機会を減らすなどの生活指導が行われます。打撲のような外傷が原因の場合は、ケースによっては外科処置が行われることもあります。
3. 顎関節症3型について
3-1 顎関節症3型は関節円板障害
顎関節症の3型は、関節円板の異常が原因となっているタイプです。顎関節には、その中心部に関節円板と呼ばれる線維性結合組織が存在しています。丸い板状の組織なので、関節円板と呼ばれています。
顎関節症3型では、この関節円板の位置がずれることによってクリック音やクローズドロックと呼ばれる開口障害を発症します。
3-2 顎関節症3型になりやすい人
顎関節症3型では、歯ぎしりや食いしばりといったブラキシズムが原因となることが多いです。特に睡眠中に行われる歯ぎしりは、関節円板への悪影響が大きいといえます。
3-3 顎関節症3型の治療法
顎関節症3型では、歯ぎしりや食いしばりを防止するために、マウスピースを装着する治療法が採られます。
これはスプリント療法と呼ばれるもので、上下の歯の間にマウスピースを介在させ、関節円板への過剰な圧力を排除します。同時にブラキシズムという悪習癖を改善する効果も期待できます。
クローズドロックの状態となった症例では、マニピュレーション法という治療法が採られます。これは転位してしまった関節円板を正常な位置へと戻す方法です。
4. 顎関節症4型について
4-1 4型は変形性顎関節症
顎関節症の4型は、関節の変形が原因となって発症するタイプです。具体的には、顎関節を構成する骨が変形してしまったり、骨壊死を起こしてしまったりすることで発症します。
症状としては、顎関節痛や開口障害、関節雑音などが挙げられます。
4-2 顎関節症4型になりやすい人
顎関節症4型は、3型から移行することが多いです。あるいは加齢によって関節円板や関節骨が損傷し、顎関節の変形を生じさせることもあります。
4-3 顎関節症4型の治療法
顎関節症4型では、始めに薬物療法や運動療法などが行われます。それでも改善が見られない場合は、外科手術が施されることもあります。
具体的には、変形した顎関節の骨を削ったり、ダメになってしまった関節円板を切除したりする外科療法です。
5. 顎関節症5型について
顎関節症の5型は、1~4型に該当しない症例が該当します。そのため、1~4型のような具体的な定義はありません。
6. まとめ
このように、顎関節症には1~5型の5つのタイプに分類することができます。それぞれ症状やなりやすい人、治療法なども異なります。
ただ、顎関節症はとても複雑な病気であるため、症状や治療法もケースに応じてバリエーションがあるとお考えください。
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