
顎関節症といえば、顎の関節部や周りの筋肉の痛みを伴う病として知られています。併発される全身的な症状はあるのでしょうか?
また、歯痛や発熱などへ波及した症状を発症することはあるのでしょうか?
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1.顎関節症とは?
顎関節症は、以下の3つの主要な症状(特徴)があります。
- 上顎と下顎の関節部分や周りの筋肉の痛み
- 関節付近の雑音
- 開口障害、または顎関節の運動異常
これらの主要な症状が、慢性的状態にあることを総括的に顎関節症と呼んでいます。
主な症状が1つ、もしくは複数重なって発生することもあります。
1-1.どんな症状がある?
1-1-1.顎の痛み
顎関節やその周辺、こめかみあたりが痛みます。食事中など顎を動かすことで痛むのが特徴です。
1-1-2.口が開かない
正常時、指を縦に三本分(約4~5cm)入る位は開けられるとされています。2本程度(約3㎝)以下の場合、顎関節症と診断されます。
1-1-3.関節付近の雑音
顎の稼働時に耳のあたりでカクカクと関節の音がしたり、ミシミシ、ジャリジャリ、といった独特の雑音があります。
1-1-4.噛み合わせの違和感
顎の動きが正常でなくなり噛み合わせがずれ、噛んだ時に違和感を感じます。
1-1-5.口を完全に閉じることができない
顎関節内の構造に異常が発生し、上下の歯列に隙間ができてしまいます。完全に噛みしめることができず、口が閉じられなくなる状態です。
2.顎関節症になる原因とは?
従来、顎関節症の原因は「噛み合わせの異常」とされていました。現在はそれだけではなく原因となる因子が他にもあるとされ、積み重なって発症するという考えが一般的となっています。
2-1.さまざまな顎関節症の原因
2-1-1.ブラキシズム
ブラキシズムとは、「歯ぎしり」や「くいしばり」などの総称です。ブラキシズムは、筋肉を緊張させ、顎関節に大きな負荷がかかります。
また、仕事やスポーツなど、何かに集中する際や、就寝中に無意識にブラキシズムが発生することが多いです。
2-1-2.偏咀嚼
偏咀嚼とは、左右の歯どちらか一方で噛むクセのことです。片方の顎関節に負担がかかってしまうことにより発症します。
2-1-3.習癖による過度の負担
習癖とは、頬杖をつく、うつ伏せに寝るなど、顎の一部に過度に負担のかかるクセのことです。
習癖により、顎に歪みが生じたり、関節に過度な負担がかかり発症します。
2-1-4.噛み合わせ不良
噛み合わせが悪い=顎関節症ではないですが、偏咀嚼やブラキシズムと関連して顎関節症の原因に結びつくと考えられています。
2-1-5.ストレス
ストレスを感じることによる精神的な緊張により、ブラキシズムが発生することがあり、原因の一つとされています。
2-1-6.外因的要素
歯の治療に通院し大きく口を開けたことによるものや、顎周辺を打撲し関節や靭帯を損傷した場合等でも顎関節症になることがあります。
3.顎関節症になりやすい生活習慣はある?
顎関節症になる原因因子のしきい値は個人差があり、明確な基準はありません。生活習慣の中で原因にあたる要素がある人は、そこを気にかけて直すことがポイントです。
3-1.気を付けたい生活習慣
3-1-1.歯が接触することを避ける
ブラキシズムは無意識に行っていることが多いため、症状がひどい場合には、マウスピースを用いた治療法(スプリント療法)があります。
3-1-2.固いものを食べるとき注意!
顎関節症にかかっているときは、固いものを食べ過ぎると顎に負担がかかるので控えましょう。また、偏った場所で噛むのは厳禁です。
3-1-3.顎へ負担のかかる習癖をやめる
テーブルに頬杖をつく、うつ伏せ寝をする等のクセはやめましょう。また猫背も顎が前に突き出た状態になり歪みを生じる原因因子となります。
3-1-4.口を大きく開けすぎない
負荷が高い大口開きは控えましょう。歯科治療等、やむを得ず大きく開けるような場合には、事前に歯科医師に相談しましょう。
3-1-5.適度なストレス解消を!
ストレスから無意識にブラキシズムを発症している場合もあります。時にリラックスして過ごす時間をつくりましょう。
4.顎関節症で、歯の痛みや発熱の症状はあるの?
顎関節症は、炎症を伴いませんので発熱することはありません。
また、顎関節症が直接の原因で歯が痛むということはありませんが、ブラキシズムによって歯がすり減り、知覚過敏や神経の壊死などから、間接的に痛みにつながることはあります。
もし、歯が痛んだり発熱等の症状があった場合は、主治医に相談しましょう。
4-1.顎関節症が引き起こすといわれる体の症状とは?
顎関節症を慢性的に抱えていることで起こるとされている、全身的な症状がいくつかあります。代表的なものは以下の通りです。
- 頭痛
- 肩こり、首こり
- めまい、耳鳴り
- 不眠症、睡眠障害
- しびれ
- 飲み込むときの違和感
- 自律神経失調症、うつ病
これら以外にも、妙にまぶしく感じる、口が渇くなどを感じる方もいます。
もし、顎関節の症状が落ち着いているのに、全身症状が続いているということであれば、別の病気の可能性もあります。
4-2.どんな病気が考えられる?
顎関節症の全身症状と類似の症状を発症するのが「帯状疱疹」です。主に「頭痛」「耳鳴り」があり、耳の後ろに水疱ができ、首元に違和感を感じます。
帯状疱疹の場合、慢性的な拍動頭痛というよりも、刺すような激しい頭痛が特徴です。また重症化すると、顔面麻痺が出るという例もあります。
帯状疱疹が疑われる場合は、歯科ではなく内科、脳神経外科などを受診して相談しましょう。
まとめ
顎関節症は、顎の症状とさまざまな全身症状を引きおこすことがありますが、歯痛や発熱の直接的な原因とはなりません。
また、全身症状の中には別の病気の可能性もあります。
顎関節症にともなう悩みや不安が生じたら、まずは歯科の主治医に相談しましょう。主治医から適切な受診科を紹介してくれることもありますので、自己判断で放置しないようにしましょう。
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