
一言で虫歯といっても、軽度のものから重度のものまで病態は様々です。
当然のことながら、軽度であればあるほど、治療も簡単になります。
とりわけ初期の虫歯というのは、治療をせずとも自然治癒することがあるくらいです。
ここではそんな初期の虫歯について、自然治癒する理由や自分で治す方法などを詳しく解説します。
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1.初期の虫歯の特徴について
初期の虫歯は、専門的には「初期う蝕」と呼ばれています。
歯の表面を覆っているエナメル質が軽度に脱灰している状態で、まだ歯質が溶けていません。
そのため、探針などで触ってみても、凹凸を感じることはないでしょう。
ただ、初期の虫歯は見た目で判断することが可能で、ほとんどのケースで白い変色が見られます。
いわゆる「白斑」と呼ばれる病変で、これが脱灰している証拠といえます。
皆さんも鏡で自分の歯を見て、白い変色が確認できたら、初期の虫歯を疑いましょう。
2.初期の虫歯は治療せずとも自然に治る?
基本的に、初期の虫歯は治療をしなくても治すことができます。
初期の虫歯では、歯の脱灰は起こっているのですが、歯質が溶解するほど病態が悪化していないため、病気の進行を止めることが可能なのです。
ここで注意しなければいけないのが、初期の虫歯であっても、完全に治すことはほぼ不可能という点です。
ですから厳密には「初期の虫歯は完治させることはできないけれども、病気の進行を抑えることは可能である」と表現できます。
ただし、治療をせずに自然治癒させるには、様々な条件をクリアしなければいけません。
3.初期の虫歯が自然治癒する理由とは?
虫歯によって失われた歯質は、二度と再生することはありません。
これはもう常識となっていますよね。
その例外として、初期の虫歯があります。
では、初期の虫歯ではなぜ、自然治癒することがあるのでしょうか。
3-1.歯は常に脱灰と再石灰化を繰り返している
歯の表面では、常に脱灰と再石灰化という現象が繰り替えされています。
脱灰とは、歯質が溶ける現象で、虫歯と密接なつながりがあります。
一方、再石灰化というのは脱灰した歯が再生する現象で、虫歯の進行を抑える働きをしています。
この2つの現象がバランス良く起こっていれば、虫歯で歯が溶けることはないのです。
3-2.初期の虫歯は歯の表面がわずかに脱灰している
初期の虫歯では、脱灰という現象が起きています。
けれどもまだ微々たるものなので、歯の再石灰化が正常に起これば、歯質を元の状態に戻すことができるのです。
これが初期の虫歯の自然治癒する理由です。
4.欧米では初期の虫歯を自分で治している
上述した通り、初期の虫歯というのは、口腔状態が正常で、オーラルケアもきちんと行っていれば、再石灰化によって自然治癒することがあります。
けれども、口腔清掃状態が悪かったり、糖質を過剰摂取していたりすると、初期の虫歯でも自然治癒しないことが多々あります。
欧米では、そうした理屈を理解している人が多いためか、初期の虫歯に対して自分で対処するケースも珍しくありません。
具体的な対処法としては、まずフッ化物の塗布が挙げられます。
フッ化物は歯質を強化してくれますので、結果的に初期の虫歯を自分で治す上での手助けとなります
。それから、キシリトールガムを噛むことで、唾液の分泌を促す方法もあります。
キシリトールは虫歯菌の活動を抑制する働きも期待できます。
ちなみに唾液の中には、歯の再石灰化を促す成分が含まれています。
その他、毎日の食事全般で糖質の摂取量を制限することも、初期の虫歯を自分で治すことへとつながっていきます。
5.まとめ
欧米では、自分自身で歯にフッ化物を塗布することもしますが、日本で行う場合には気を付ける必要があります。
なぜなら、フッ化物は使用方法を誤ると歯にダメージを与えることがあるため、基本的には歯科医院で施術してもらうのが適切です。
その他の対処法については、今日から始めても何ら問題はありません。
というわけで、初期の虫歯は自然治癒したり、自分で治すことがある程度可能であるということを頭に入れた上で、毎日のオーラルケアに励んでみましょう。
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