今回はインプラントについて、実際にはどのような失敗があるのか、例を交えて書いていきたいと思います。
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下顎の神経の損傷
インプラントの埋入手術で、下顎にある大きな下歯槽神経と呼ばれる神経を傷つけてしまい、口唇や頬の感覚が麻痺してしまう事がまれにあります。数週間や数か月で感覚が元に戻ることもありますが、不幸なことに戻らないケースもみられます。
対策としては、歯科医師が術前のX線もしくはCT撮影で下歯槽神経の位置を確認し、インプラントを埋入するのに十分な骨の高さがあるかどうかを判断する事が重要です。
患者サイドとしては、事前に歯科医師の説明をしっかり聞き、インプラントを埋入する場所がどのような状態か、簡単なケースなのかそれとも少しシビアなケースなのか確認する必要があるます。
決して歯科医師の「問題ありません、大丈夫です。」の言葉だけで流されるのではなく、具体的にしっかり説明を受けた上で治療を行うかどうか判断する事が、御自身の身を守るためにも大切です。
上顎洞へのインプラントの迷入
上顎には上顎洞と呼ばれる大きな空洞がありますが、上顎の奥歯の方にインプラントを埋入する際にこの空洞にインプラントが落ちてしまうケースもみられます。
こういったケースの場合は耳鼻科などで、上顎洞に落ちたインプラントを拾い上げる手術が必要になります。このケースも前述の下歯槽神経麻痺のケースと同様に、術前の診断、説明をしっかり行っていく事によって、予防できていくと思います。
十分な高さの骨がない場合は、上顎洞の中に骨を作ってから、インプラントを埋入する治療もあります。
こういった事を事前に知っておくと、歯科医師とのコンサルティングの際により深い、理解が得られると思いますし、より突っ込んだ治療オプションの話し合いができると思います。
術後のインプラントの脱落
インプラントを埋入するために十分な骨の高さがなかったり、骨質があまりにも弱かったりして、埋入したインプラントがすぐに取れてくるケースもあります。
このケースも術前の診断が大切です。特に今は歯科用CTもかなり普及してきて、CTによって骨密度が簡単に測定できるようになりました。これによって歯科医師側の診断の質も確実に上がりました。
特に骨祖訴訟などの患者さんの場合は、骨密度が一般の方よりも低いので、必ず歯科医師と、担当の医師に術前に相談しておくことが必要です。
インプラント周囲炎
インプラントも天然歯と同様に歯磨きをして清潔に保つ必要があります。
インプラントと歯肉の間には天然歯と同じく溝があり、汚れがたまり易くなっています。そこに汚れが長期間たまった状態が続くと、歯周病のように、インプラント周囲の歯肉が腫れてきて、酷くなると膿がでてきます。
これはインプラント周囲炎と呼ばれています。インプラント治療を受けた後は、きちんとインプラントのケアの方法を学び、また定期的に検診を受け、御自身ではとれない汚れをクリーニングしてもらう事が必要です。
インプラント治療と歯周病
また基本的な事ですが、インプラント治療を開始する前にきちんと歯周病の治療を行っていることも重要です。
なぜなら、歯周病でお口の中に歯周病細菌が多く存在して、歯肉も腫れやすいケースでは、健康なケースと比べて、術後の経過に差が出てくることがあるからです。
インプラントの手術中に関しても、出血が多かったり、歯肉も動かしにくかったりして、歯科医師側にも負担がかかります。よって、時間がかかり煩わしいことかもしれませんが、歯周病の治療は優先されて行われていく必要があります。
審美的な問題
前歯などの外から見えやすい部分にインプラント治療を行う際に、歯科医師が気を遣うのが、インプラントの金属の部分の露出です。
大きく笑った時に露出した金属が少し見えるので、気になる患者さんには気になります。歯肉が薄かったり、元々歯肉が下がっていたりすると、金属が露出してしまう確率が高まります。
対策としては歯肉を厚くしたり、下がった歯肉を上げる手術を事前に行うのですが、とても熟練したテクニックを要する手術で、歯科医師泣かせの部分でもあります。
まとめ
やはりどのような失敗ケースにおいても、もっとも重要なのは歯科医師との事前のコンサルティングで、御自身の疑問を全てクリアーにしておくことでしょう。
忙しいご時世に焦って、すぐにインプラント手術を受けたい気持ちも理解できますが、かえって遠回りになることもありますし、失敗してしまったら元も子もありません。
歯科治療はしっかり腰を据えて、焦らずに受けていきましょう。
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