親知らずの抜歯をすると、そこには大きな穴が開いてしまいます。歯を1本まるまる抜き取るのですから、当然といえば当然と言えます。
ただ、お口の中に大きな穴があると、違和感を持ってしまい、気になって舌でいじったり、歯ブラシで過剰に磨いたりしてしまうものです。
そこで気になるのが親知らずの抜歯後に、傷跡(穴)が元に戻る(塞がる)までの期間です。
ここでは、親知らずを抜歯したあと、どういった過程を経て穴が塞がるのかについて詳しく説明します。
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1.親知らずを抜歯した際に元に戻る(塞がる)のには、どれぐらいの期間がかかる?治癒期間は治療方法によって違う?
親知らずの抜歯によって生じた穴は、どういった治療を施したかによって、塞がる期間が大きく異なります。
ここでは比較的簡単に抜くことができた症例と、歯肉の切開などが必要となる難症例に分けて解説していきます。
1-1.親知らず抜歯時に簡単に抜歯できた症例の治癒期間(穴が塞がる期間)
親知らずの抜歯後、歯茎にできた穴は血液で満たされます。これはケガをした際の傷口と同じです。私たちの体は、傷口ができるとその部位を修復するために、血液で満たそうとします。
血液には、損傷した組織を修復する材料などが豊富に含まれ、傷口が細菌に感染するのも防いでくれます。ですから、傷口ができた初期においては、非常に重要なプロセスと言えます。
親知らず抜歯後の穴には、穴が塞がる期間までの治療直後に血餅(けっぺい)と呼ばれるものが出来上がります。文字通り、お餅のような血液で、抜歯後の穴を軽く塞いでくれています。この血餅自体は、1時間程度で形成されます。
ただし、あくまで少し固まりかけた血液でしかないので、親知らず抜歯後の穴を塞いだとはいえません。簡単に抜歯できたケースであれば、その後1ヶ月もすれば傷口が上皮組織で覆われます。そうなると、抜歯後にできた穴は気にならなくなり、食べ物が詰まるようなこともなくなります。
1-2.親知らず抜歯時に歯肉切開を伴う難症例の治癒期間(穴が塞がる期間)
抜歯をするにはひと手間もふた手間もかかるような難症例の親知らずについてです。そもそも親知らずは、斜めに生えていたり、横に生えていたりすることが多いので、簡単に抜歯できるケースはそう多くはありません。
そうした抜歯が難しい症例では、専用の器具でそのまま抜き取るのではなく、親知らずを囲んでいる歯肉を切開することがあります。
歯肉の切開を伴う親知らずの抜歯では、まず第一に、切開した歯肉にも傷口が生じます。
また、親知らずを抜いた後の穴も、比較的大きいだけでなく、形も複雑であることが多いです。
なぜなら、親知らずの形がいびつなため、そのいびつな親知らずを無理矢理抜き取るからです。ですので、簡単に抜歯できた親知らずの症例と比較すると、穴が塞がるまでの期間はそれなりに長くなります。
歯肉切開を伴う難症例の治癒期間(穴が塞がる期間)場合の穴が完全に塞がるまでの期間は、1ヶ月以上、ケースによっては半年以上かかる場合もあります。
親知らず抜歯後の穴が塞がる(治癒するまでの期間)は個人差が大きく、人により大きく異なりますので、上記の例はあくまでも参考程度にお考え下さい。
ちなみに、血餅ができるまでの期間に関しては、簡単に抜歯できた症例と変わりません。
2.親知らず抜歯後に穴がふさがるまでの期間(治癒期間)に気を付けたいことは何があるの?
親知らずを抜いた後にできた穴は、立派な傷口です。顔や手足に同じような傷口ができたら、かなり重く受け取ることでしょう。しかし、親知らずの傷口(穴)は、口の中で一番奥にあるため、鏡を見ても見えにくく、ついつい傷口であるということを忘れがちになってしまうことがあります。
そこで、親知らず抜歯後の穴が塞がるまでの期間において、気を付けていただきたい点について、解説していきます。
2-1.親知らず抜歯後の穴を舌でいじらない
お口の中に普段はない穴が開いていると違和感を感じるため、ついつい舌でいじってしまうことがあるようです。
意識的にいじることもあれば、無意識的にいじることもあるかと思いますが、どちらにしても傷口の治りを遅くしますので意識的に傷口をいじるのをやめる努力をしましょう。
親知らずの穴を舌でいじっていると、せっかくできた血餅が壊され、いつまでたっても傷口が塞がりません。
2-2.親知らず抜歯後の穴を歯ブラシで傷口を刺激しないことが治癒期間に影響する
同じような理由で、毎日の歯磨きにも注意が必要です。歯ブラシのブラシ部分は比較的硬い素材でできていることが多いです。それを使って傷口である親知らずの穴をゴシゴシと磨いたらどうなるでしょうか。
ある程度想像がつくかもしれませんが、血餅を洗い落としてしまうだけでなく、傷口を悪化させることにもなりかねません。
もちろん、親知らずの抜歯によってできた穴は、できるだけ清潔に保つ必要がありますので、そういう意味ではジレンマが生じます。
幸いにして、私たちのお口の中には、抗菌作用や自浄作用を持った唾液という素晴らしい分泌物が存在しています。
また、血餅にも細菌感染のリスクを下げる作用がありますので、抜歯によってできた穴はそれほど念入りに歯磨きする必要はないのです。
傷口をできるだけ清潔に保ちたいという意識が強い人ほど、ついつい歯磨きに力を込めがちですが、親知らずの抜歯後しばらくは可能な限り刺激を与えないようにしましょう。
具体的には、食べ物が挟まっていたら取り除く程度で問題ないでしょう。
2-3.親知らず抜歯後は、刺激の食べ物や硬い食べ物は避ける
親知らずの抜歯後に注意すべき事項として食事があげられます。繰り返しになりますが、親知らずの抜歯後にできた穴は、大きな傷口であり、本来上皮で守られている組織がむき出しになっている状態です。
ですので、刺激の強い食品は可能な限り避ける必要があります。
具体的には、香辛料を沢山使った辛い料理や酸味の強い料理等の刺激の強い食べ物、それから熱すぎたり冷たすぎたりする料理も控えましょう。
抜歯後1週間程度は、傷口に刺激を与えない料理を口にすることをお勧めします。それ以降であれば、徐々に普段の食事に切り替えていっても問題ありません。
また、硬い食べものも注意が必要になります。親知らずの抜歯後は、組織がやわらかくなっていますので、硬い食べもので容易に出血することもあります。
まとめ
親知らずを抜歯してできた傷口は、比較的容易に抜歯できる例で、大まかに1ヶ月程度で治ります。治る過程で、血餅が作られ、少しずつ傷口が塞がっていくこと、上記のようないくつか注意すべき点についても言及してきました。
ただ、親知らずによってできた傷は、完全に治るまでにはさらに時間がかかるケースも多くあり、同時に個人差もありますので、詳しくは主治医に相談してください。
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