歯周病は、歯周組織に発生する病気(感染症)の総称です。歯周病は、人類史上最も感染者数の多い感染症で、ギネスブックにも登録されているそうです。
言い方を変えれば、人類にとって身近な感染症と言えるでしょう。
歯周病を予防するには、毎日の歯磨きや、定期検診等で常に清潔に保つ必要がありますが、生活習慣の改善も有効な予防法のひとつです。
生活習慣の中には飲食物も含まれます。
ここでは、飲食物、生活習慣に焦点を当てて、説明していきます。
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1.そもそも食べ物(食材、食品)で歯周病は予防できるのでしょうか?
歯周病の予防には、日頃から偏食を避け、必要な栄養を摂取し、十分な休養、適度な運動を心がけ、体の免疫力を上げる、もしくは疲れたりして、免疫力が頻繁に下がらないようにする等の工夫が必要です。
端的に言えば、身体の健康を維持するのと同じです。
そういう意味では、歯周病に直接効果のある飲食物はありませんが、結果的に歯周病予防、症状の回復を助ける飲食物はありますので、いくつかご紹介します。
1-1.免疫力を維持する飲食物
歯周病の進行は一定ではなく、進行期と休止期を繰り返して進んでいくと言われているため、免疫力、体の抵抗力が落ちた時に歯周病は進行すると考えられます。
免疫力を維持する食品としては、ヨーグルトなどの乳酸品があげられます。
免疫力の維持には腸内環境を整える事が大切ですが、ヨーグルトには乳酸菌が豊富に含まれていて、腸内環境を整える効果があります。
1-2.歯肉の回復を助ける飲食物
歯周病で弱っている歯肉の回復を助けるのに、ビタミンCも欠かせない栄養素です。ビタミンCにはお肌への美容効果があるように、歯肉の修復にも必要な栄養素です。
ミカンやレモンなどのビタミンCが豊富に含まれている食材を積極的に摂るようにしましょう。
1-3.唾液の分泌を活性化させる飲食物
小魚などの噛み応えのある飲食物は、唾液の流出が促進されます。唾液は基本的に虫歯菌や歯周病菌を殺菌する働きがありますので、日頃からよく噛んでたくさん唾液がでてくるようにしましょう。
ただし、あまりにも固い物を強く噛むと、歯肉やその周りへのダメージになり逆効果になりますので、適度な硬さの食品を選んで下さい。
2.生活習慣で歯周病になりやすいものは何ですか?
言うまでもなく、歯磨きの習慣がない、適切な歯磨きを行えていないと、当然口の中に歯垢がたまり、歯周病菌も増加して、歯周病にかかりやすくなります。
また、フロスの習慣も歯周病予防には必要不可欠です。どれだけ丁寧に時間をかけて歯磨きをしても、歯と歯の間にある歯垢は歯磨きでは取り除くことはできません。
歯垢をほったらかしにしておくと、そこから歯周病や虫歯の進行が起こってしまいますので、出来れば、一日一度は就寝前にフロスを行う習慣を身につけると、歯の寿命を長くする可能性が高まります。
その他にも、歯周病を進行させる悪い生活習慣がありますので、いくつかご紹介します。
2-1.歯への過度の負荷
あまりにも固い物を好んで噛んだり、歯のくいしばり、歯ぎしりなどの行為は、歯周病にかかっている場合、土台が弱っている歯の周囲に、より一層ダメージを与えてしまい、顎の骨の吸収を助長させたりして、歯周病の進行を早めると言われています。
ただし、歯への過度の負荷は、歯周病の原因ではないので、誤解しないようお願いします。上記はあくまで、既に歯周病にかかっている場合の話です。
2-2.喫煙
タバコは歯周病の大敵です。
以前、1つの大きなお皿の真ん中にタバコが1本置かれて「最後の晩餐にしますか?」と書かれたポスターがありました。
タバコを吸う事によって歯周病が治らず、進行した結果歯が抜け落ち、美味しい食べ物が食べられなくなるという意味の広告で、喫煙と歯周病の密接な関係を上手に表現しています。
(皮肉も込められていると思います)
喫煙すると、口腔内の血液循環が滞りやすくなり、歯肉に十分な血液が届きにくくなり、歯周病にかかりやすくなります。
また、同じ歯周病治療を施しても喫煙者と非喫煙者では、治療効果が高いという研究結果もあります。
喫煙は、口の中が乾燥状態(ドライマウス)にもなりますので、それだけで歯肉はダメージを受けやすい環境に陥ります。さらに喫煙により、血液循環が悪くなると、歯周病の主症状の一つである歯肉からの出血が逆に起こりにくくなってしまいます。
そのため、喫煙者の場合は、歯周病の初期症状に気づかないことが多く、歯周病が進行して、腫れたり、痛みなどが出て、やっと気づく事も少なくありません。
タバコは歯周病にとってまさに大敵なのです。
2-3.歯ブラシの定期的な交換
見落としがちですが、歯ブラシの定期的な交換も重要です。
歯周病菌や虫歯菌はブラッシング後、歯ブラシの毛先にも移る事が知られています。
歯周病菌のたくさん残っている歯ブラシで歯を磨いても、せっかくのブラッシング効果が下がってしまいます。定期的に歯ブラシを交換するように徹底しましょう。
また、お子さまがいる家庭で、兄弟、姉妹間で歯ブラシの共有をされている方もおられるようですが、それはすぐにやめましょう。
まとめ
歯周病は感染症ですので、重度の歯周病の患者さんと例えばお箸の使い回しなどをしますと、そのときにご自身の免疫力、口腔内の健康状態が弱っていれば、それだけで歯周病に罹患するリスクも高まります。
歯周病の治療は時間がかかり、患者様の協力なしではけっして治らない病気です。
ご自身でできる事を少しずつでも取り入れていき、歯周病になりにくい生活習慣を確立するよう、少しずつでも改善してみて下さい。
そして、歯周病の治療を受ける際は、同居しているご家族一緒に検査してもらって、治療を受ける事をお勧めします。
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