オーラルフレイルとは、「歯・口の機能の虚弱」を意味する考え方です。
オーラルフレイルについて詳しくはこちらのページをご覧ください。
→http://dental-blog.jp/oral-frail/1493
口腔機能が低下することでロコモティブシンドロームやサルコペニアといった全身機能の衰えも引き起こす可能性があるとしています。
そんなオーラルフレイルはどのようにして評価するのでしょうか。
ここではオーラルフレイルの評価方法について、具体的な項目を挙げながら説明します。
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1.オーラルフレイルの4つの段階
オーラルフレイルと一言で言っても、実は細かく4つの段階に分けることができます。
4つの段階とは以下の通りです。
- 前フレイル期
- オーラルフレイル期
- サルコ・ロコモ期
- フレイル期
前フレイル期が最も初期段階で、フレイル期になると全身機能の衰えが顕著になっています。
オーラルフレイルの進行状況を見る上では、とても分かりやすい分類と言えます。
では、オーラルフレイルという状態は、具体的に何によって評価するのでしょうか。
2.オーラルフレイルの評価項目
オーラルフレイルを評価する上で重要なポイントは以下の3つです。
- 残存歯数
- 咬合圧
- 嚥下機能
少し専門的な言葉になっており、理解しにくいかと思いますので、それぞれの評価項目について個別に説明す。
2-1.残存歯数
残存歯数とは、口の中に残っているご自身の歯を指します。
つまり、虫歯や歯周病で抜け落ちた歯はカウントせず、今現在歯茎の中にしっかりと埋まっている歯を指しています。
オーラルフレイルでは、残存歯数が20本未満の場合が該当します。
やはり、残っている歯が少なくなればなるほど、咀嚼機能や発音機能も衰えてうのです。
2-2.咬合圧
咬合圧(こうごうあつ)とは、ものを噛む顎の力です。
デンタルプレスケールという器具を用いて、顎の力がどれだけ強いかを測定します。
オーラルフレイルでは、咬合圧検査の結果が20N未満の場合が該当します。
ちなみに20N未満というのは、子供の噛む力よりも弱くなっていることを意味しています。
2-3.嚥下機能
嚥下機能(えんげきのう)とは、飲み物や食べ物を飲み込む機能を意味します。
高齢者になるとこの嚥下機能が低下するため、誤嚥などを引き起こしやすくなります。
オーラルフレイルでは、そんな嚥下の機能を調べるために反復唾液嚥下テスト(RSST)が実施されます。
反復唾液嚥下テストとは、唾液を飲み込むという行為を30秒間繰り返して、その回数によって嚥下機能の異常を見極めるというものです。
具体的には、30秒間で3回以上唾液を飲み込むことができれば正常と言えます。
これが3回以下であれば嚥下機能に異常があると認められます。
2-4.その他の評価項目
オーラルフレイルでは、主に上述の3つのポイントに注目して評価が行われます。
それに加えて、年齢や性別、身長、体重、BMIなども評価の参考になってきます。
そうした様々な要素を加味した上で、オーラルフレイルの状態にあるのかをみていくのです。
3.オーラルフレイルはまだ新しい概念
オーラルフレイルというのは、まだ提唱されて日が浅い新しい概念です。
そのため、オーラルフレイルの調査というのも、それほど沢山行われてはいません。
統計データも乏しく、評価項目もまだ定まっていないのが現状です。
ですので、今回取り上げたオーラルフレイルの評価項目は、今後変わる可能性があります。
あるいは、オーラルフレイルの調査によっては異なる評価項目を設定する場合がありますので、上述の説明は、あくまで参考程度に留めておいて下さい。
まとめ
オーラルフレイルという言葉は、まだまだ広まっておらず、歯科業界に従事している方でも知らないケースもあると言っていいでしょう。
名称自体もイメージしにくい面がありますし、それを評価する項目なども専門的で理解しにくいことかと思います。
ただ、今回ご紹介したようなオーラルフレイルの評価項目について知ることで、オーラルフレイルが何を意味しているのかを、より深く理解して頂けるのではないでしょうか。
オーラルフレイルは口腔機能に関わる異常ですが、悪化すると全身機能の低下へとつながっていきます。
それだけに今のうちから深く知っておいて、オーラルフレイルの予防に努めることが望ましいでしょう。
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