前歯はとても目立つ位置に生えている歯です。それだけに虫歯などの病気にかかった時に真っ先に目につく歯でもあります。
ですから歯医者は、前歯が虫歯などで崩壊した際には、審美性を重視した特別な治療を提示することが多いです。
その代表例がインプラントとオールセラミッククラウンです。
ここでは、インプラントとオールセラミッククラウンの違いについて、値段や治療期間などに焦点を当てながら解説していきます。
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1.インプラントとオールセラミッククラウンの違い
1-1.適応症の違い
インプラントとオールセラミッククラウンでは、そもそも適応される症例に違いがあります。
インプラントの場合、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上にクラウンの形をした上部構造を装着しますので、治療を始める際には歯が全くない状態となっています。
逆にいえば、歯が残っている状態では、インプラント治療を行うことはできません。
一方、オールセラミッククラウンの場合は、歯がある程度残っていなければ治療を行うことができません。
なぜならオールセラミッククラウンはいわゆる被せものの一種ですので、患者さん自身の歯が残存していなければ、被せることができないのです。
また、あまりにも崩壊が進んでしまっているケースでは、オールセラミッククラウンを適応できないことがあります。
このように、インプラントとオールセラミッククラウンとでは、患者さん自身の歯があるかないかという適応症の違いがあります。
ただ、歯が残っていても、あえて抜歯をしてインプラント治療を適応することもありますので、ケースバイケースといえます。
1-2.治療期間の違い
インプラントとオールセラミッククラウンとでは、治療期間に大きな違いがあります。
インプラントは、歯が何もないまっさらな状態から人工歯根を埋め込むことから始めますので、比較的長い治療期間が必要となります。
具体的には、半年から1年です。この期間には、インプラントを埋め込むインプラントオペから、被せ物を作る行程まですべてを含みます。
一方、オールセラミッククラウンの治療期間は1ヶ月程度となっています。
もちろん、症例によってはそれ以上かかることもありますが、インプラントと比べるとかなり短い治療期間で終了することがほとんどです。
このように、インプラントとオールセラミッククラウンの治療期間に大きな違いがあるのは、治療のプロセスに大きな違いがあるからです。
1-3.治療費の違い
インプラントとオールセラミッククラウンでは、治療費にも大きな違いがあります。
インプラントの治療費は、1本あたり30万円前後が相場となっています。
一方、オールセラミッククラウンは1本あたり10万円前後が相場となっています。
このように、インプラントとオールセラミッククラウンとでは、明らかな治療費の違いがありますが、治療に使用する材料や器材が大きく異なるため、仕方のないことといえます。
2.どちらが前歯の治療に適しているか
さて、インプラントとオールセラミッククラウンには、適応症や治療期間、それから治療費に大きな違いがあることがわかったかと思いますが、前歯の治療にはどちらが適しているのでしょうか。
2-1.審美性の違い
オールセラミッククラウンでは、セラミックという本物の歯に近い素材を使って被せ物を作りますので、仕上がりはとても美しいです。
ただ、インプラントでは被せ物をセラミックだけでなく、ジルコニアというさらに美しい素材を使用することも可能であるため、審美性という観点からはインプラントの方が勝っているといえます。
2-2.噛み心地の違い
インプラントとオールセラミッククラウンとでは、インプラントの方が噛み心地が良好であるといえます。というのも、インプラントではしっかりとした人工歯根を顎の骨に埋め込むため、ものを噛む時にもしっかりと機能してくれるからです。
オールセラミッククラウンでは、残っている歯質はほぼ歯根の部分のみとなっていますので、噛み心地という観点からはインプラントが勝っているといえます。
3.まとめ
このように、インプラントとオールセラミッククラウンには様々な違いがあり、前歯の治療にはインプラントの方が有効なように思えます。
けれども、オールセラミッククラウンでは、患者さん自身の歯を一部残すことができたり、費用が少なく済んだりするため、どちらも一長一短といえるでしょう。
ですので、治療を選択する際にはインプラントとオールセラミッククラウンの違いを意識しながら、あなたにとって最善の治療法を模索していきましょう。
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