最近、歯周再生治療(歯周組織再生誘導法)という言葉を新聞やテレビなどで耳にされた方もいるかもしれません。
この歯周再生治療はいったいどのような治療法なのでしょうか。
ここでは、歯周再生治療とはいったいどういう治療なのかという事について説明します。
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1.歯周再生治療(歯周組織再生誘導法)とは何でしょうか?
歯周再生治療(歯周組織再生誘導法)とは歯周病や加齢変化などで失われてしまった、歯の周りの組織を文字通り、再生していこうという治療です。
それでは、歯の周りの組織(歯周組織)にはいったいどのようなものがあるのでしょうか。
2.歯周組織とは
歯周組織とは、歯の根の表面を覆っているセメント質、歯が埋まっている顎の骨の歯槽骨(シソウコツ)、歯肉、歯の根の部分と歯槽骨の間にクッションのように存在している歯根膜の4つの組織の事を指します。
2-1.歯槽骨
歯周病は、歯の周りに炎症が起きて、その炎症が歯肉、歯槽骨へと伝わっていきます。
その後しだいに歯槽骨が吸収されていき、その結果歯肉も下がって失われていくという病気ですが、歯周病になっていなくても、加齢変化のひとつとして少しずつではありますが、歯槽骨は徐々に吸収されていきます。
歯槽骨が失われるという事は、歯が埋まっている土台そのものが減少し、弱っていくという事ですので、ある程度の歯槽骨の吸収が起こると歯の動揺がみられるようになり、最終的には抜け落ちるという事が起こります。
2-2.歯肉が下がることによるリスク
歯肉が下がるという事は、歯の根の部分が口腔内で露出してきているという事です。
歯の根の表面は敏感な部分であるために、知覚過敏などの症状が見られやすくなり、虫歯になりやすい部分でもあります。
さらに、強度の面でも頭の部分と比べて根の表面は弱い部分ですので、強い力で歯磨きをしてしまうと、表面の部分からすり減ってくる場合もあります。
健康な歯周組織を維持しているときは、なかなかそのありがたみがわからないですが、失ってみてはじめてその組織の働きについて理解することが多いです。
3.歯周組織再生治療は、どのような治療で、どのような時に行われるのか?
3-1.主な歯周組織再生治療の適用
歯周組織再生治療は、歯周病治療の一環として行われることが多いです。
従来の歯周病治療は、失われてしまって凸凹になった歯周組織をきれいに整えて、それ以上歯周組織が失われないにするという切除療法の意味合いが強い治療法でした。
しかし、近年の再生療法の発見、進歩のおかげで、現在は歯周病による炎症を取り除き、さらに失われてしまった組織をできるだけ取り戻そうといった方向に、歯周治療がシフトしてきています。
3-2.他の適用例
歯肉が下がったことによる不快症状や、審美的な問題を気にされている方の場合にも歯周再生療法を行うことがあります。
また、現在はインプラント治療が頻繁に行われるようになってきましたが、インプラント治療は人工歯根と呼ばれるインプラントを顎の骨(歯槽骨)の中に埋める治療です。
インプラントを埋入するのに十分な歯槽骨がない場合は、まずは歯周再生療法を行って、それからインプラントを口の中に入れていくという事になります。
3-3.歯周組織再生療法の内容
歯周組織再生療法には様々な方法がありますが、大きく分けると失われた歯周組織周辺に薬剤を塗布していく方法、膜を置いていく方法、骨を移植する方法の3種類があります。
薬剤にも色々な薬剤が開発され、使用されてきていますが、一例を挙げるとエムドゲインと呼ばれる豚の歯根膜由来の成分を含んだものなどがあります。
膜にも種類があり、自然に顎骨内で吸収されていくものや、後から再度、歯肉を開いて除去が必要なものなどがあります。
骨の移植の場合、腸骨や顎骨の安全な部分から移植する骨を採取して再生が必要な部分に移植していきます。
治療が少し大がかりになり、患者様の負担も増えますが、最も確実な効果があるのが、この自分の骨を移植する方法(自家骨移植)と言われています。
まとめ
歯周組織再生療法による治療は、インプラント治療の普及とともに、ここ十数年で急激に進歩していている治療法で、まだまだ過渡期にあると考えられています。
使用する薬剤や、実際の治療方法も各歯科医師によって様々です。
実際に治療を受ける際は、ご自身で色々調べられることも無論大切ではありますが、主治医と十分に相談をして、治療内容を理解し、治療を受けることをお勧めします。
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