歯周病というのは、細菌に感染することで発症する病気です。P.g(ピージー)菌に代表される歯周病菌が歯茎に感染して炎症などを起します。
そんな細菌感染症である歯周病には、噛み合わせや歯ぎしりも関係しているのをご存知でしょうか。
一見すると全く関連のないものですが、歯周病を悪化させる危険要因となることがあります。
ここでは、噛み合わせと歯ぎしりが歯周病とどのように関係しているのかについて詳しく解説していきます。
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強く噛む力が歯肉や骨を破壊する
私たちの顎は想像以上に強い力でものを噛むことができます。誤って舌を噛んだ時の痛みを思い出してもらえるとわかりやすかもしれません。それほど強く噛まずとも、あれだけの痛みを感じるのですから、本気で噛んだら相当な力を発揮します。
一般的には、食事の際の噛む力は男性で60kg、女性で40kg程度と言われています。私たちの歯は、それくらい強い力でものを噛むことができるのです。
そこで忘れてはいけないのが歯を支えている組織です。
専門的には歯周組織と呼ばれるもので、歯茎、歯根膜、歯槽骨などが含まれます。
実はこれらがある種クッションのような役割を果たすことで、強い咬合力(噛む力)を支えているのです。
そして、大事なクッションの役割を果たす歯周組織を破壊するのが歯周病です。
歯周病は歯茎を下げ、歯根膜を破壊し、歯槽骨を溶かしてしまう病気です。
歯周病は、歯周病菌に感染することで生じる歯肉炎から始まりますが、噛み合わせと歯ぎしりは、どういった点で歯周病と関わっているのでしょうか。
噛み合わせや歯ぎしりは歯茎や顎の骨に強い負担をかける
上下の歯の噛み合わせが悪いと、全体の歯でバランスよく噛む力を分散することができなくなります。
結果的に、上手く噛みあっていない部分に強い力が集中することとなります。すると、その歯を支えている歯周組織が過剰な力を負担することとなるのです。
毎回、強い力が伝わると歯茎に炎症が起きたり、歯と歯槽骨との間に隙間が出来たりします。これは歯周組織が弱っている状態ですので、歯周病菌にも感染しやすくなるのです。すでに歯周病を発症している場合は、症状を悪化させることとなります。
次に歯ぎしりについてです。
私たちはものを噛む時に、無意識的にも力のコントロールを行っています。
口に入れたものの硬さや大きさに応じて、噛む力を加減しているのです。ですから必要以上の強い力で噛むことはありません。
けれども、歯ぎしりは違います。歯ぎしりはストレスを感じている時に現れることが多く、食事の際よりも強い力でギシギシと噛みます。
しかもお口の中に食物がないため、噛む力がそのまま歯や歯茎に伝わってしまうのです。
その結果、噛み合わせの悪い場合と同じような影響が歯周組織に及ぶのです。
生活リズムが崩れ気味の人は要注意
日常的に歯ぎしりをしてしまう人は、ストレスを感じやすい傾向にあります。
また、生活リズムが崩れて寝不足であったり、噛み合わせが悪かったりすることでも歯ぎしりがでやすくなります。
歯ぎしりというのは、人それぞれで原因が異なりますが、心当たりのある方はまずその原因を取り除くことから始めましょう。
噛み合わせに関しては、上下の歯列で噛み合っている部分が少ないほど、歯周病を発症しやすいといえます。
歯科医院にいくと、咬合紙と呼ばれるインクが付いた紙で噛み合わせを調べてくれます。この時、上下の歯の接触点が少ないほど、特定の歯に大きな負担がかかっていることになるため要注意といえます。
また、歯科医院では何が原因で歯ぎしりが起きているのかについても、適切な助言をしてくれるかと思います。
姿勢や加齢は歯周病の原因になるのか?
姿勢が悪さや加齢は、直接的には歯周病と関係がありません。
ただ、加齢に伴って顎関節が変形したり、軟骨が擦り減ったりすることがありますし、姿勢が悪いことでも顎関節に負担がかかることがあります。
顎関節に障害が現れると噛み合わせにも悪影響が及びますので、間接的に歯周病を引き起こすことがあります。
まとめ
このように、歯周病は噛み合わせや歯ぎしりといった意外なものが原因となることがあります。
これらの原因は、歯科医師でなければ見抜くことができませんし、治療も歯科医院でなければ行えません。
ですから、噛み合わせの悪さや歯ぎしりなどに悩まされている人は、まず歯科医院へ足を運びましょう。
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