昔から、食品を長く保存するために塩が多用されてきました。これは塩を使うと食品を長持ちさせることが出来ることを、私たちの先祖が経験的に知ったからです。
塩に細菌を殺す作用があることが科学的に実証されたのは、近代に入ってからで、現在では塩が配合されている歯磨き粉も販売されています。
また食品とは別に、塩で口内炎を治療する話を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。ただ、一方で口内炎という傷口に塩を塗ることは、かえって症状を悪化させるという話も広まっています。
ここでは、塩で口内炎が悪化するかどうかや、塩を使う根拠について詳しく説明します。
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1.「口内炎に塩」は悪化するのか?
1-1.こうすると塩で口内炎が悪化する
口内炎に対して上手に塩を使えば、症状を悪化させることなく、治療に役立てることができます。口内炎は細菌に感染して炎症を起こしていることが多く、塩の殺菌効果によって細菌の活動を抑制できるからです。
しかし、適切な形で口内炎に塩を作用させるのはとても難しいといえます。
例えば、粗塩などを口内炎に直接塗り付けたとしたら、高い殺菌効果が期待できますが、反面、強い刺激によって痛みを伴うことがあります。
また、殺菌効果は期待できても、傷口自体が悪化することもあるため、口内炎に塩を塗るというのは、正直言ってお勧めできる方法とはいえません。
口内炎に塩を使うのは、いわゆる民間療法の一種ですので、治療効果がある場合もあれば、逆に症状が悪化する場合もありますので注意が必要です。
1-2.塩が傷口を広げ炎症を促進する?
口内炎に塩を塗ると、炎症がさらに強まったり、傷口が大きくなったりすることがあります。
そもそも口内炎というのは、潰瘍(かいよう)の一種ですので、粘膜の表面がボロボロになっています。そこへ塩を塗り付けることで、傷口がさらに悪化したり、炎症を促進させたりしてしまうことがあるのです。
ですので、リスクを抑えつつ、口内炎に対して塩を効果的に使うには、塩水でうがいをするのが一つの方法と言えます。塩水でうがいをする方法であれば、水により塩分濃度が下がるため、口内炎が悪化する可能性も低いですし、ある程度の殺菌効果も期待できるからです。
2.そもそも「口内炎に塩」の根拠って?
「口内炎に塩」という話は、誰しも一度は耳にしたことある話ですから、当然、何らかの根拠がありそうに思えます。インターネット上にも「口内炎 塩」に関する情報が多くあふれています。
しかしながら、実際のところ、口内炎に対して塩が効くという科学的根拠は存在していません。
2-1.「口内炎に塩」は民間療法
塩に殺菌効果があるという事は実証されており、塩を用いることで口内炎が良くなる可能性も十分にあり得ます。
ただ、塩を用いて口内炎の治療を繰り返し行った研究はないため、科学的根拠は乏しいと言えます。
また、口内炎の市販薬の中にも、単純に塩を用いた商品はありません。つまり、口内炎に塩を用いるという治療法は、あくまで民間療法であり、科学的根拠に基づいた、リスクが低く効果が高い治療法が存在しているからとも言えます。
2-2.はちみつや梅干しの科学的根拠について
口内炎に塩を塗るという治療法以外にも、梅干しやはちみつを使った治療法というのが広く知られています。
梅干しには沢山の塩分が含まれていますし、はちみつには塩と同様の殺菌効果が期待できますので、口内炎に塩を用いる方法のように症状が改善することもあります。
けれども、はちみつや梅干しも、塩と同様に口内炎に治療効果があるという科学的根拠には乏しいと言えます。
ただ、口内炎が出来た場合に、はちみつや梅干しなどを進んで食べるというのは悪いことではありません。
なぜなら、梅干しは、唾液の分泌を促進してくれる、はちみつは、栄養価の高い食品であり、治癒を補助し口内炎の治りを早める効果が期待できるからです。
まとめ
口内炎に塩を用いる方法は、明確な科学的根拠がないため、民間療法の範疇にとどまると言えます。
それだけに、治療効果の個人差が大きく、使い方一つで口内炎を逆に悪化させることもありえます。
ですので、口内炎ができたら、塩、梅干し、はちみつ等を用いて無理に自分で治そうとせず、専門家である歯科医師に診てもらいましょう。
歯科医師であれば適切な診断を下し、個人の年齢、健康状態等を考慮した上で、口内炎の種類や症状に適切な治療を施してくれるかと思います。
口内炎は立派な病気ですので、やはり、より安全で、より確実な治療法で治していくことが望ましいです。
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