顎関節症では多くのケースでスプリント治療が実施されます。
スプリント治療とは、マウスピース型の装置をお口の中にはめて、顎関節症の原因となっている口腔習癖や左右の顎のアンバランスを改善する方法です。
ここではそんなスプリント治療について、種類や効果、費用および治療期間などを詳しく解説していきます。
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1.スプリント治療の種類について
1-1.装着する部位によるマウスピースの違い
スプリント治療で使用されるマウスピースの種類は、大きく2つに分けることができます。
1つは上の顎に装着するマウスピースと、もう1つは下の顎に装着するマウスピースです。
これらは患者さんの顎関節症の症状に応じて使い分けていきます。
1- 2.装着する用途に応じたマウスピースの違い
顎関節症で用いられるマウスピースは、用途に応じて3つに分けることができます。
その3つとは、スタビライゼーション型スプリント、リポジショニング型スプリント、ディスク リキャプチャリング型スプリントです。
スタビライゼーション型スプリントとは、顎関節症のスプリント治療で最も一般的に使用されているタイプで、顎の筋肉の緊張をほぐしたり、食いしばりなどの悪習癖を取り除いたりする際に用いられます。
リポジショニング型スプリントは、関節円板のクリック音が鳴るような症例に対して用いられます。
リキャプチャリング型スプリントは、開口障害が起こった症例に用いられます。
2.スプリント治療の期間
スプリント療法の治療期間は、顎関節症の症状が改善され、関節の状態が安定するまで使用することとなります。
一般的には、3ヶ月ほど継続してスプリントを装着していれば、徐々に顎の状態が改善していきます。
ただ、3ヶ月経ってすぐにやめてしまうと、再び顎関節症の症状が現れてくることもありますので、スプリント療法の治療期間としては、半年前後、患者さんの状態によっては1年ほどかかるものだとお考えください。
3.スプリント治療の費用
スプリント療法の治療費は、保険が適用されるかどうかで大きく異なります。
多くの場合、スプリント療法では保険が適用されますので、3割負担で5千円前後が相場となっています。
自費診療の場合は歯科医院によって費用が異なりますので、直接問い合わせてみましょう。
4.スプリント治療の効果
スプリント治療は、夜間の就寝時などにマウスピースをはめるだけの簡易的な処置ですが、顎関節症の効果は高いといえます。
もちろん、顎関節症を発症している原因によってはスプリント治療があまり効果を示さないことがありますが、全般的に見て、スプリント治療は顎関節症に有用であるといえます。
5.スプリント治療だけで顎関節症は完治するのか
さて、顎関節症に効果の高いスプリント治療ですが、果たしてマウスピースを装着するだけでこの病気を完治させることは可能なのでしょうか。
5-1.スプリントは症状の改善に大きく寄与する
スプリント治療が顎関節症の症状を大きく改善することは間違いありません。
けれども、スプリント治療だけで顎関節症を完治させることはなかなか難しいです。
なぜなら顎関節症は、1つの原因によって発症しているのではなく、複合的な要因が絡み合っているからです。
5-2.患者自身が治療のために行えること
スプリント治療を受けている患者さんには、是非、自宅などでも治療のためにいくつかのことを実施して頂きたいです。
まず、顎関節に負担を与えている噛みしめや食いしばりなどの習癖を意識的に減らしていってください。
また、頬杖をつくという行為も、顎関節に強い圧力がかかるため控えるようにしましょう。
その他、硬いものを食べたり、必要以上に大きく口を開けたりする行為は避けましょう。
顎関節周囲の筋肉をマッサージするということも、患者さん自身ができる症状改善の処置のひとつです。
6.まとめ
このように、顎関節症のスプリント治療は、ある程度治療期間を要するものの、着実に症状を改善してくれます。
患者さん自身が自宅で行える努力も合わせ、スプリント療法によって着実に顎関節症の治療を進めていきましょう。
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