顎関節症の症状を改善するために「市販されているガムを噛む」といった治療法があるということを耳にしたことがあるかもしれません。
これは半分正しくて、半分間違っているといえます。
なぜなら、ガムを噛むことは、顎関節症の症状を改善することもあれば、発症の原因になることもあるからです。
ここでは、ガムを噛むことと顎関節症との関連性について詳しく解説します。
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1.ガムを噛むことが改善方法になるケース
顎関節症は軽症から重症まで症状は様々で、患者さんそれぞれで進行度も大きく違います。
その中でも軽症では、ガムを噛むことが有効であるケースがあります。
具体的には、顎周囲の痛みや明らかなクリック音などがない症例で、噛み合わせの悪さが顎関節症の発症原因になっているケースが該当します。
特に、普段から右側だけで噛んでいたり、あまり噛まずに食事を済ませたりしている場合は、ガムを噛むことが有効となりやすいです。
こうした習慣がある人は、顎関節に過剰な負担をかけやすく、顎の筋肉も弱りやすい傾向が強いのです。
2.ガムを噛むことが顎関節症の原因となるケース
一日のうちにガムを長時間噛み続けるような習慣があると、顎関節症の発症原因になることがあります。
これはガムを噛む行為が顎関節に過剰な負担を強いるからです。
では具体的にどのくらいの時間、あるいはどのくらいの量のガムを噛むと顎関節症を引き起こすのでしょうか。
例えば日本歯科医師会が推薦しているロッテのキシリトールガムは、「1回に2粒を5分噛み、1日7回」という摂取量の目安を掲げています。
これは主にキシリトールにおける歯の再石灰化効果を考えた目安量となっています。
キシリトールガムには、初期虫歯の進行を抑えたり、症状を改善する再石灰化効果があったりするため、5分程度噛むことを勧めているのです。
ですからこの噛む時間や量の目安は、顎関節症とはあまり関係がないとえます。
ただ、1粒のガムを1時間も2時間噛んでいると、顎関節症の原因や症状を悪化させることにつながる可能性は高いといえます。
そのことから、ガムの噛み過ぎの目安としては、一日に1ケース消費することは何ら問題ないのですが、長時間噛み続けることは避けるようにしてください。
3.ガムを噛むことのメリット・デメリット
3-1.ガムを噛むことのメリット
市販されているキシリトールガムには、虫歯を引き起こさない糖分であるキシリトールが含まれており、それに加えて歯を再石灰化させる成分も配合されているため、基本的に虫歯予防につながります。
また、ガムを噛むことは唾液の分泌を促す効果が期待できるので、こちらも虫歯予防につながるというメリットと考えられます。
その他、適度にガムを噛んでいれば、顎の筋肉が鍛えられますので、顎関節への負担を軽減することができます。
膝関節もそうですが、関節周囲の筋肉を鍛えることで、運動した際の関節への衝撃などを減らすことが可能となるのです。
3-2.ガムを噛むことのデメリット
ガムを噛むことのデメリットは、主に噛み過ぎによる顎関節への負担増が考えられます。
一日のうちに長時間ガムを噛み続けると、当然のことながら顎関節への負担が増えます。
それが毎日の習慣ともなると、顎の関節が変形したり摩耗したり、あるいは関節円板が変位したりすることもあるのです。
それから、ガムを右側や左側といったどちらかの歯だけで噛む癖があると、噛み合わせを悪くすることがありますので注意が必要です。
その他、ガムを噛むことのデメリットとしては、顎の筋肉の疲労があり、こちらも顎関節症を発症原因になったり、症状を悪化させたりすることにつながります。
4.まとめ
このように、ガムを噛むことは顎関節症の発症原因になったり、症状を悪化させたりすることにつながるケースがあります。
その一方で、軽症の顎関節症を改善したり、虫歯予防につながったりするケースもありますので、ガムを噛むことはメリットとデメリットの両方があるといえます。
ですので、それぞれの顎の状態や生活習慣なども踏まえながら、ガムをどのくらい噛むか決めてみてはいかがでしょうか。
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