耳鳴りというのは、その原因が特定できず、なかなか治療が進まないケースも珍しくありません。
耳はとてもデリケートな器官ですので、体のいろいろな異常によって悪影響を受けることがあるのです。
例えば顎関節症もそのひとつで、顎関節に異常によって耳鳴りが生じることもあります。
ここでは、耳鳴りと顎関節症の関係について詳しく解説します。
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1.顎関節症の影響で耳鳴りになりえるのか?
結論からいうと、顎関節症の影響で耳鳴りが生じることはあります。
これは耳と顎関節の位置関係を考えると理解しやすいかと思います。
顎関節というのは、2つの骨から成り立っています。1つは下顎骨の下顎頭と呼ばれる部位で、もう1つは側頭骨の下顎窩と呼ばれる部位です。
この2つが連結している場所が顎関節です。
そして重要なのが耳のある場所です。
実は耳というのは、側頭骨に存在しているため、基本的に顎関節とつながっていると考えることができます。
また、場所的にも非常に近く、顎関節の影響をダイレクトに受けることがあるのです。
2.なぜ耳鳴りにつながってしまうのか?
では耳と顎関節がすぐ近くにあると、なぜ耳鳴りにつながるのでしょうか。
これは、顎関節症では、顎関節に強い衝撃や負担がかかることと関係しています。
例えば顎関節症では、口を開け閉めした際に、関節が滑らかに動くことがありませんので、雑音が生じたり、摩擦によって振動が生じたりします。
こうした刺激は、すぐ近くにある中耳や内耳へと伝わり、耳鳴りを生じさせるのです。
耳は遠くの小さな音でも拾ってくれる感度の高い器官ですので、すぐ近くでそうした不快音や不快な振動が生じたら、耳鳴りを起こしても不思議ではありませんよね。
3.意外に感じられる顎関節症の症状
3-1.めまい
顎関節症が耳鳴りの原因となるという時点で、かなり意外に感じられるかもしれませんが、実はその他にも顎関節症に付随した意外な症状というものがあります。
それは「めまい」です。
めまいは、貧血や慢性疲労などによっても生じますが、耳とも深い関連があることをご存知でしょうか。
耳には三半規管という組織があり、これが体の平衡性などを保つ役割を担っています。
例えば遊園地にある回転遊具などに乗ると、三半規管が乱されてめまいを生じさせたり、真っすぐ立つことすらままならなかったりしますよね。
顎関節症でも、回転遊具ほどではないにしても、三半規管への悪影響が生じるためにめまいが起こってしまうのです。
具体的には、関節雑音やものを噛んだ時の衝撃、振動などが耳へと伝わり、三半規管の機能を乱すことがあります。それがめまいへとつながっていくのです。
3-2.難聴
顎関節症と難聴は、直接的に関連しているとはいえませんが、間接的には影響しているといえます。
それは耳鳴りやめまいが生じるメカニズムと同じで、やはり顎関節によって生じる振動や衝撃、関節雑音、あるいは咀嚼筋のこりなどが耳へと影響して、間接的に難聴を引き起こすことがあるのです。
3-3.肩こり
顎関節症では、顎の筋肉だけでなく、首や肩の筋肉もこることがあります。
基本的に筋肉というのは、お互い影響し合って運動しているので、どこか一部に異常が生じると、その周囲にある筋肉にも負担が分散されていくのです。
ですから、顎関節症によって咀嚼筋などがこったり、極度に疲労すると、その影響が首や肩の筋肉にまで波及して、肩こりなどを引き起こしてしまうのです。
一見すると、肩こりと顎関節症は無関係に思えますが、実は関連性があることも珍しくはありません。
4.まとめ
耳鳴りを感じても、それが一過性のものであったら、特に気にせず放置してしまうことが多いかと思います。
耳鳴りというのは、ちょっとした体調不良でも起こり得る症状ですので、あまり深く悩む必要もないかもしれません。
ただそれが、頻繁に起こるようであれば治療が必要となります。
上述したように、耳鳴りと顎関節症にはそれなりの関連性がありますので、顎関節症を疑うことも間違いではありません。
ですので、耳鳴りやめまいなどが気になったら、まずは医療機関を受診しましょう。
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