皆さんもこれまで、喉の奥に何かが入って吐き気を催したことはあるかと思います。
これはいわゆる嘔吐反射と呼ばれるもので、例えば歯磨き中に歯ブラシを喉の奥に挿入してしまった際などに起こります。
また、歯科治療中にもこの嘔吐反射が起こることがあり、とりわけ親知らずは一番奥に生えている歯ですので注意が必要です。
ここでは、親知らずの虫歯治療中に誘発される嘔吐反射について、その発生メカニズムや予防法、実際に吐き気を催した場合の対処法などについて詳しく解説します。
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1. 嘔吐反射とは
嘔吐反射とは、舌の根っこの部分である舌根部を刺激することで生じる生理的な現象です。
喉の奥に異物が入らないようにするための生体反応ですので、嘔吐反射自体は正常な機能ということができます。
ただ、親知らずの虫歯治療中に繰り返し嘔吐反射が起きるのはとても辛いことですよね。
2. 嘔吐反射の予防策
歯科医師は、歯だけでなく舌や咽頭など、口腔全般の組織について詳しく勉強しています。
ですので、嘔吐反射についても熟知しており、虫歯治療中はできる限り舌根部を刺激しないよう、細心の注意を払っています。
ただそれでも、患者さん自身が治療中に舌を動かしたリ、顔を動かしたりすることで、誤って治療器具で舌根部を刺激してしまうことがあります。
それを予防するためには、親知らずの虫歯治療中は歯科医師の指示にきちんと従っていきましょう。
3. 虫歯治療中に吐き気を催した場合
嘔吐反射は生理現象ですので、患者さん自身でコントロールすることは困難です。
ですから、親知らずの虫歯治療中に吐き気を催したら、手を挙げるなりして歯科医師にすぐ伝えましょう。
親知らずの虫歯治療では、ドリルなどを使って歯を削っていますので、嘔吐反射が生じると口腔粘膜を傷つける可能性も出てくるからです。
4. 嘔吐反射が出やすい患者さんへの対処法
患者さんによっては、口腔内の感覚がとても敏感で、親知らずの虫歯治療中に何度も嘔吐反射が生じる人もいらっしゃいます。
あるいは、歯科治療自体への恐怖心が強く、情緒が不安定になることで嘔吐反射を誘発しやすくなるケースも珍しくはありません。
4-1 笑気麻酔で心をリラックスさせる
そうしたケースでは、笑気麻酔と呼ばれる気持ちをリラックスさせる処置を施すことがあります。
親知らずの虫歯治療前に笑気を吸引することで、とても気持ちが良くなり、歯科治療への恐怖心が取り除かれます。
同時に、治療器具が舌根部に当たっても嘔吐反射を誘発しにくくなります。
4-2 静脈内鎮静法で半分眠ったような状態にする
笑気麻酔では対応できないほど嘔吐反射が強い方には、静脈内鎮静法という処置が施されることがあります。
これは心を落ち着かせる鎮静剤を血管から流し込む処置法です。
親知らずの虫歯治療前にこの処置を施すことで、半分眠ったような状態になります。
その結果、歯科治療への恐怖心はもちろんのこと、嘔吐反射も抑制され、気づいたら治療が終わっていることでしょう。
ただ、静脈内鎮静法を行う場合には、歯科麻酔会のような麻酔の専門家が立ち会うことが必要となり、治療費もそれなりに多くかかります。
4-3 大学病院には最新の設備や有能な人材がそろっている
歯学部のある大学病院には、多くの場合歯科麻酔科と呼ばれる診療科が設置されています。
歯科麻酔科医もいわゆる歯医者なのですが、麻酔に関してのプロフェッショナルで、基本的にはどんなケースにも対応してくれます。
ですので、親知らずの虫歯治療で、極度の嘔吐反射が生じてしまうケースなどは、民間の歯科クリニックから大学病院へ紹介されることも珍しくはありません。
また、設備も最新のものがそろっており、人材も豊富です。
5. まとめ
このように、親知らずの虫歯治療は嘔吐反射が起こりやすく、その原因や対処法についても事前に詳しくしっておく必要があります。
嘔吐反射が激しいからといって親知らずの虫歯治療を諦めず、上述したような解決法を探ってみてはいかがでしょうか。
親知らずの虫歯は悪化しやすく、その他の歯にも悪影響を及ぼしやすいので、できるだけ早く治療することが重要となります。
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