親知らずといえば、他の歯と並んで正常に生えてくることが珍しく、横向きに生えてきたり、歯ぐきの中で埋没したままのケースもあります。
このような生え方の親知らずを放っておいても大丈夫なのでしょうか。
ここでは、特異な生え方をした親知らずが見つかった時点で、どう対処すればいいかについて説明します。
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1.「親知らず」について詳しく知りましょう
親知らずは、「生えてきたら厄介」ということはなんとなく知られていることと思います。では、親知らずはいつぐらいに生えてくるどんな歯なのでしょうか?
最初に「親知らず」という歯について詳しくご紹介します。
1-1.「親知らず」とはどの歯のこと?
永久歯は、通常上下左右7本ずつ、合計で28本生えてきます。親知らずはその更に奥、8番目に生えてくる永久歯で、第三大臼歯ともいいます。
他の永久歯と異なり、10代後半から20代前半に生えることが多い歯です。
1-2.なぜ「親知らず」と呼ばれるの?
前述のとおり、親知らずは、成人になる前後の忘れた頃に生えてくる歯です。
このように呼ばれるのは、平均寿命が短かった昔、その歯が生えてくる頃には親が亡くなってしまい、見ることができない歯ということから由来されています。
1-3.なかなか普通に生えてくれない
現代人の顎は小さい傾向が見られます。特に黄色人種はその傾向が強いと言われています。
10代後半から20代前半に生えることが多い親知らずは、顎の小ささ故に、親知らずが生えるスペースを十分に確保できないため、結果として横向きに生えてしまったり、歯ぐきの中で横向きに埋没したままに生えることが多くなってしまうのです。
2.自分のお口に親知らずがあると判ったら…
なかなか普通には生えてくれない親知らずですが、歯科での検診やレントゲン撮影で思わぬ時に見つかることもあります。もし、親知らずがあることが判ったら、どのように対処すべきなのでしょうか。
2-1.歯ぐきの中で横向きに埋まっている場合
レントゲン撮影などで見つかる場合が多いのが歯ぐきの中に埋まっている親知らずです。
横向きで埋まっていることが多く、正式には「水平埋伏智歯」といいます。
完全に埋まっており、手前の歯や歯周組織に影響を与えることが無い状態で落ち着いているのであれば、無理に抜歯せずに様子をみます。
2-2.横向きや斜めに生えている場合
親知らずが生える方向が斜め方向にあるとき、親知らずの頭の一部だけが歯ぐきから見えている「半埋伏」の状態で生えることがあります。
状態によっては、手前の7番目の奥歯を押す力がかかることもあります。
自覚症状がない場合にはすぐに抜歯するということはありませんが、将来的に手前の7番目の奥歯に悪影響が出たり、周囲の組織が炎症を起こす様なことがあれば、抜歯することになります。
2-3.他の歯や歯周組織に影響がある場合
埋伏している親知らずでも、中には横の歯を歯ぐきの中で押してしまい、手前の歯並びが悪くなったり、痛みが生じることがあります。
また、親知らずは斜めに生えてきた場合、手前に歯との段差や隙間に虫歯菌が繁殖しやすいため、歯肉炎(智歯周囲炎)を起こしやすくなります。
このような影響がある場合は抜歯をすることになります。
3.親知らずが及ぼすさまざまな影響とは?
先にもご紹介したように、親知らずは生え方によってはさまざまな症状を引き起こす原因になってしまいます。親知らずから引き起こされる、さまざまな症状をご紹介します。
3-1.親知らず周囲の炎症を引き起こす
部分的に生えた状態の親知らずの場合、汚れが溜まりやすいため、歯肉の炎症を引き起こすリスクが高くなります。
この炎症は、「智歯周囲炎」と呼ばれ、炎症が悪化すると周囲の軟組織や歯を支える骨を破壊してしまうこともあります。
炎症が繰り返したり、重症化するようであれば親知らずを抜歯することになります。
3-2.親知らずにできる嚢胞
埋伏した親知らずに嚢胞(のうほう)ができることがあります。
嚢胞は病的に腫れると痛みを伴うこともあります。基本的には良性であることが多いですが、悪性(腫瘍)との鑑別診断が必要になります。
嚢胞は、親知らずの抜歯とともに摘出して病理検査することになります。
3-3.手前の歯を押してしまう
前述のとおり、親知らずは、生え方によっては、手前にある第2大臼歯に押す力がかかるため、前方の歯並びが詰まって並びが悪くなることがあります。
また、埋伏した親知らずが手前の歯の根っこあたりを押してしまい、神経を圧迫して痛みを伴ったり、歯の根っこを吸収してしまうこともあります。
このように他の歯へ影響がある場合は抜歯の対象になります。
3-4.頭痛や肩こりの原因にも!
歯の噛み合わせは微妙なバランスにも敏感に反応します。
親知らずによって歯並びのバランスが崩れると、肩こりや首の張りを引き起こす原因になると言われています。また、顎周辺の筋肉の使われ方が変わり、血行の悪化や炎症を引き起こすことがあります。
改善策としては、まずは原因となっている親知らずを抜歯し、適切な噛み合わせするために歯並びの矯正を行います。
まとめ
親知らずがあるとわかった場合、必ずしも抜歯になるとは限りません。
ただし横向きや埋没して生えていることで悪い影響が生じることがある、またはその可能性がある場合、抜歯したほうが良いこともあります。
親知らずがあると起こり得る症状を把握し、症状がひどくなる前に対処できるよう、主治医に相談しましょう。
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