前歯のインプラントを行う場合は、インプラントの大きな特徴である、ご自分の歯に近い噛む力に加え、審美性、ご自身の残りの歯との調和が要求されます。
インプラントに接続する人工歯の色はどれくらいの種類があるのでしょうか。
ここではインプラントに接続する人工歯の選び方と人工歯の色の種類について説明します。
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1.前歯のインプラントでの色の選び方とは?
1-1.前歯のインプラント治療の大まかな流れ
前歯のあった部位にインプラントを入れる時の大まかな流れは、インプラント(人工歯根)を顎の骨の中に埋入した後、骨と結合するのを待ちます。
その後、アバットメントと言われるパーツをインプラントに装着して、型取りをした後に、被せ物(人工歯)をセットしていきます。
したがって、最終的な人工歯の色をどう決めるのかという事が今回のテーマになります。
1-2.シェードテイキング
人工歯の色を決める事を、歯科では「シェードテイキング」と呼びます。
インプラントの型取りをした後、最終的な人工歯を作る前に、ワックスなどで作られた仮歯で、適合具合、形、大きさを確認する作業を行います。この作業の事を「試適」と呼びます。
大体において、試適の時に、最終的な人工歯の色を決めていきます。
サンプルとなる色で作られている前歯と、インプラントを埋入した位置の隣の歯などと比べながら、患者様と歯科医師とで相談し、最終的な人工歯の色を決めていきます。
隣の歯に比べて、被せ物の歯の色が白過ぎると、その歯だけ飛び出しているような不自然な印象を与えますし、逆に暗すぎると、被せ物をした部分が引っ込んで見え、審美的に残っている歯との調和がとれません。
この作業は非常にセンスティブで、患者様や歯科医師の主観に大きく左右される作業でもありますので、場合によっては、人工歯を実際に作る歯科技工士も交えて、話し合い、色を決めていったりする歯科医院もあります。
2.色の選択肢ってどのぐらいでしょうか?
結論から先に書くと、人工歯の色は約20種類あります。
前歯にインプラント治療を行う際は、治療を始めてから最終的な人工歯が入るまでに、およそ2ヶ月から、長い時で半年位かかります。
前歯は口を開けるとすぐに見える部分で、仕事上の印象を大きく左右する所でもありますので、インプラント治療中は通常、仮歯を入れる事になります。この仮歯の色を参考にして最終的な被せ物の色を決めていくというのも一つの方法です。
3.前歯の人工歯の色で後悔しないようにするには?
3-1.治療の順番も色を決める要素の一つ
治療の順番も前歯のインプラント治療を成功させる上で重要な要素です。
例えばホワイトニングなどの治療を考えている場合は、インプラント治療をした後にホワイトニングを行うと、どうしても天然の歯とインプラントの人工歯に色の違いが出てきます。
その場合は、先にホワイトニングをして、天然の歯の色がある程度落ち着いてから、その色に合わせてインプラントの人工歯の色を決めるようにします。
3-2.虫歯がある場合は先に治療を
虫歯がある方は、インプラント治療で最終的な人工歯が入る前に、他の歯の虫歯の治療を進めたほうが失敗はありません。
例えば、インプラントの人工歯の隣の歯に虫歯があり、虫歯治療の結果、人工歯が必要になる場合、虫歯の治療をしていない天然の歯に、インプラントの人工歯の色を合わせても、後から天然の歯に人工歯をするようでは、無駄な労力を使うことになります。
また、患者様や歯科医師が妥協して、天然の歯の色に合わせてインプラントの人工歯の色を決めていた場合は、もっと理想的な色に人工歯を仕上げるチャンスを失ってしまったことにもつながります。
3-3.人工歯、アバットメントの材質
前歯のインプラントの人工歯の材質の種類は、ハイブリッド(プラスチックと陶材のまざったもの)、メタルボンド(金属で裏打ちされた陶材)、オールセラミック(全て陶材)と呼ばれるものがあります。
また、インプラントに接続するアバットメントには、金属からできたものと、ジルコニアと呼ばれるセラミックでできた物があります。上記の組み合わせによって、最終的な人工歯の見た目も変わってきます。
見た目が綺麗と言われているのが、ジルコニアアバットメントとオールセラミックの組み合わせです。この組み合わせは光沢感や自然な白さが非常に天然歯に近く再現できます。
しかし、非常に高価なのと、万が一欠けた場合に修理が難しいこと、金属の裏打ちがないために、適合がやや弱い等のデメリットがあります。
メタルボンドは長く歯科で使用されてきた人工歯で、オールセラミックよりはやや劣りますが、きれいな人工歯が入ります。金属で裏打ちされているので十分な適合が期待できます。ジルコニアアバットメントとオールセラミックの組み合わせほどではありませんが、高価な所がデメリットと言えます。
ハイブリッドは、オールセラミックやメタルボンドに比べて、安価であり、万が一欠けたりした場合の修理も比較的容易に行えるのがメリットと言えるでしょう。
デメリットは、見た目が上述の2つに比べると劣ることですが、それでも十分に満足されている患者様が多くいらっしゃいます。
3-4.人工歯、アバットメントの組み合わせは主治医とよく相談を
人工歯やアバットメントの組み合わせは、それぞれの特徴を主治医からしっかり教えてもらい、どのようにしたら、ご自身が納得のいくような物ができあがるのか、術前の相談はとても大切なものになりますので、お互いが合意を得るまで相談するようにして下さい。
まとめ
前歯にインプラントを入れる時の人工歯の色を左右する要素について、治療の流れも含めて説明しましたが、一度人工歯が入ってしまうと、基本的にはその人工歯を壊さない限りはやり直しがききません。中にはねじ式で取り換えできるタイプのものもありますが、交換費用はかかることには変わりありません。
ですので、ご自身の要望をしっかり伝えて、しっかりと主治医とコミュニケーションをとりながら治療を進めていくようにして下さい。
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