舌は全身状態を映し出す鏡とみられるほど、重要な部分で、舌診と呼ばれる分野が確立されているほどです。
この舌診では、特に消化管の状態や血液の状態、体液の状態、高熱、冷え性の有無などが判別できると考えられています。
この舌ですが、真っ白くなることがあります。真っ白くなった状態では、身体はどのような状態になっているのでしょうか。
またこの白いものは臭いを発することがあるのでしょうか。
ここでは、舌が真っ白な状態と口臭の関係について説明します。
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1.舌が真っ白い状態と口臭の関係ってあるのでしょうか?
まず、舌の状態からどのようなことが分かるかについて説明します。
舌の裏側には舌下部静脈と呼ばれるおおきな静脈が観察され、そこから全身の血圧などの状態が分かるとも言われています。
1-1.舌診で分かること
舌診では、舌の色や固さ、形態から様々な可能性を判断していきます。
舌には豊富に血管があり、舌本体の色は血液の色を表していると考えられています。
血液が濃い場合は深い赤色をし、貧血気味の場合は淡い白色をしています。
また、舌の粘膜では常に剥がれたり、再生されたりという事が繰り返されていますが、体調が悪くなると再生のサイクルがうまくいかなくなり、大きな溝が舌の表面にできてきます。
更に、体の中の水分が不足すると、舌全体も萎縮してきます。
他にも、舌の表面が光って見えたり、舌の横の部分が凸凹になってくるなど、体調の変化に伴い舌は様々な様相を呈してきます。
1-2.舌苔は食べカスや粘膜組織の死んだものなどの塊
次に「舌苔」について説明していきます。
舌苔とは、舌の表面につく苔状のものの事で「ゼッタイ」と読み、消化管の状態と密接な関係があります。
消化管が弱ってくると、舌苔は増えてきて逆に正常な状態に戻ると、減ってきます。
これは、舌苔が増えることによって、味覚などを減少させ、自然に食欲を抑えて体内に食べ物が入ってくることを防ぎ、消化管への負担を抑えているからです。
舌苔の正体は、舌の溝に詰まった食べカスや、舌の粘膜組織の死んだものなどの塊です。
よって、舌苔を無理に取ろうとするのは、そういった体の生理現象に反する事でもあり、粘膜も傷つけますのでお勧めできません。
2.白い舌苔は身体に異常があるわけではない
舌苔の色は様々で、白、黄色、灰色、黒色などがあります。
上述の通り、舌苔は食べカスや、舌の粘膜組織の死んだものなどの塊ですので、ものによっては臭いを発し、口臭の原因になることがあります。
白い舌苔は健康な状態でもみられますが、身体が冷えている状態のときにみられると考えられています。
ですので、舌が白くなったからといって、身体に特別な異常があるわけではありません。
黄色の舌苔は身体が熱を持ったときに見られます。
黒い舌苔は長期にわたって何らかの疾患を患っている場合、もしくは疾患が重症化している場合に見られると言われています。
基本的に舌苔は白、黄、黒色の順に変化していくと考えられています。
3.口臭以外にも何か影響はあるのでしょうか?
3-1.舌苔による口臭
口臭について説明する前に、白い舌苔についてもう少し詳しく説明します。
舌の表面の苔ですが、薄い場合と厚い場合があり、薄い場合は軽度の症状で、厚い場合は症状が重く舌の表面の乳頭が角化して硬い状態となっています。
このため、苔が厚い場合は舌の表面の溝に溜まった汚れがとれににくくなります。その結果、口臭が発生しやすくなり、気にされて歯科医院に来院される方も多くいます。
3-2.舌苔の状態による身体異常のサイン
白い舌苔では水分を十分に含んでいる状態と、逆にべっとりとした状態があり、後者は腐敗物が多く存在する状態で、消化機能のなんらかの障害が考えられます。
この場合は、胃腸の状態を整えるように対策や、何らかの感染症にかかっていないか医療機関で検査する必要があります。
また厚い白苔は、唾液がねばねばした状態になり、口の中の粘膜の再生のリサイクルもスムーズに行われない状態となるため、入れ歯などの適合性が低下し、粘膜などに容易に傷ができやすい状態となります。
3-3.「地図状舌」
次に「地図状舌」と呼ばれる疾患について、書いていきます。
地図状舌は、舌苔の一部が数箇所剥がれて、舌の表面が部分的に白くみえます。
生体の機能が十分に活動していないことが考えられ、胃が弱っている場合や、栄養不足の場合があります。
また、ストレスを強く受けている状態でも、みられやすい症状です。
口の中のPHのバランスも崩れて、舌の表面の粘膜の再生がうまく行えない状態となっており、苔が部分的に生えていないためにこのような状態となります。
毛髪の一部がうまく再生されない、円形脱毛症の状態と似ています。
地図状舌が見られると、胃が弱っている場合が多いため、食事には十分に気をつけ、消化に優しく刺激の少ないものを摂取したほうがいいでしょう。
身体が健康な状態に戻ってくるのに伴い、舌も正常な状態に戻ります。
まとめ
舌が白色になる状態について説明しましたが、舌苔はたしかに口臭の原因となりえますが、舌ブラシなどで取りすぎると非常に危険ですし、かえって後から舌苔が増えてくるようになります。
舌苔を直接取るのではなく、舌苔ができにくいような身体状態に整えることが重要です。
舌に変化が見られるということは、身体のどこかに変化が起こっているというサインでもあり、どこか悪いところはないか、原因がなんなのか総合的にご自身の体について考えていく必要があります。
ただ単に口臭や見た目の事だけを考えるのではなく、真の原因を追究するようにして下さい。
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