皆様は「オーラルフレイル」という言葉をご存知でしょうか?
オーラルという言葉から、何となく口に関する用語であることは分かりますが、実際に何を意味しているのかはなかなか想像がつかないと思います。
ここではオーラルフレイルについて、それが何か、それを提唱している団体やその目的なども踏まえながら説明します。
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1.オーラルフレイルという言葉の意味
オーラルフレイルとは、そのまま日本語に直訳すると「歯や口の機能の脆弱」ということになります。
つまり、口腔機能が衰えた状態をオーラルフレイルと呼んでいます。
この言葉は、東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫教授、飯島勝矢准教授らが提唱したもので、まだまだ新しい言葉と言えます。
2.オーラルフレイルの内容
オーラルフレイルは口腔機能の低下を意味していますが、重要なのはそこに至った原因です。
オーラルフレイルでは、次に挙げるような3つの要素が欠如することによって口腔機能の低下を招くとしています。
- 社会性
- バランスの良い食事と歯・口の定期的な管理
- 運動
2-1.オーラルフレイルと社会性
社会性というのは、周囲の人との関りを意味しています。
具体的にはご近所の方との付き合いや、誰かと一緒に食事をする等といったことです。
一見すると当たり前のことのように思えますが、高齢になるとそうしたことが億劫となり、社会性が欠如していく傾向が強くなるのです。
2-2.バランスの良い食事と歯・口の定期的な管理
摂取する食品のバランスが悪いと、身体が低栄養となりがちです。
そうなると様々な全身疾患や口腔疾患などを引き起こしやすくなります。
また、低栄養になると運動する気力もわいてこないため、身体機能の低下や筋力の低下も招いてしまいます。
歯や口の定期的な管理を怠ると、虫歯や歯周病にかかっていても気づかない場合があります。
あるいは、気づいていたとしても治療せず放置してしまうこともあるのです。
すると、口腔機能全般が低下し、噛む力も衰えていきますので、滑舌が悪くなったり、食事をしにくくなったりするのです。
2-3.オーラルフレイルと運動
最近ではロコモティブシンドロームという言葉が知られるようになりましたが、その他サルコペニアという言葉も普及しつつあります。
サルコペニアとは日本語では「加齢性筋肉減弱症」と呼ばれるもので、高齢の方の筋肉の衰えを指しています。
実はオーラルフレイルは、ロコモティブシンドロームやサルコペニアの前兆とも考えられており、運動と密接な関係があるとも考えることができます。
ものを噛んだり、言葉を話したりすることは、正に運動であり、毎日行っていないとそれに関与している筋肉が衰えていきます。
咀嚼機能が衰えると食事をすることが億劫になり、摂取する栄養も不足していきます。
そうなると全身運動する気力もわいてきません。
そうして運動をする機会も減り、体が虚弱になっていき、ふとしたことで骨折などをするようになるのです。
3.オーラルフレイルを広める目的
オーラルフレイルについては一通り理解して頂けたかと思いますが、気になるのはそれを広める目的だと思います。
上述した通り、オーラルフレイルでは口腔機能の低下を招くだけでなく、ロコモティブシンドロームやサルコペニアといった全身機能の低下にもつながっていきます。
ですからオーラルフレイルという状態を予防することで、高齢者が抱える様々な問題も予防することが可能となります。
80歳になっても自分の歯でご飯を食べ、元気良く外を歩けるような高齢者になれたら、誰もが幸せと思うのではないでしょうか。
4.オーラルフレイルを広めている団体
オーラルフレイルを広めている団体は、日本歯科医師会です。
もちろん、オーラルフレイルという考え方を提唱したのは東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫教授、飯島勝矢准教授らですが、日本歯科医師会や国も協力して、オーラルフレイルという考え方を普及しようとしています。
まとめ
オーラルフレイルという考え方を理解することは、口腔内の健康だけでなく全身の健康にも寄与してくれます。
まずはしっかりと噛むことから始め、定期的に口腔内の状態を診査してもらい口腔機能の維持、向上に努めていきましょう。
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