口内炎というと唇付近や、頬の内側に出来るイメージがあるかと思います。
しかし、喉に口内炎(と同じ症状)が出来ることがあることをご存知でしょうか?
ここでは、喉に出来た口内炎の症状と主な原因について説明します。
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1.そもそも喉に口内炎が出来るものなのでしょうか?
いきなり話の腰を折るようですが、喉にできた口内炎は、口内炎とは呼ばず、咽頭炎や喉頭炎という名前が付けられています。
ですが、ここではあえて「喉の口内炎」という表記で説明を続けていきます。
1-1.ヘルパンギーナ
喉の口内炎の一種で、「ヘルパンギーナ」と呼ばれる疾患があります。
ヘルパンギーナは、エンテロウイルスと呼ばれるウイルスの中で、コクサッキーウイルスA群の感染によるものが主原因と言われています。
ヘルパンギーナは、夏場に流行するのが特徴で、主に乳児や小児にみられますが、成人にもみられることがあります。
ウイルスに感染してから、2日~4日の潜伏期間を経て、発症していくと言われています。
2.喉の口内炎の症状とはいったいどんなものなのでしょうか?
2-1.ヘルパンギーナによる症状
前述のヘルパンギーナの症状としては、専門的には軟口蓋や口頬部と呼ばれる部位に複数の赤みを伴う水泡がみられ、やがてそれが破れ、口内炎のような潰瘍がみられるようになり痛みを誘発するようにもなります。潰瘍の大きさは直径1mm~5mm程度です。
ヘルパンギーナを発症すると、飲食時に口内炎と同じように痛みが起こります。痛みが強い場合は嚥下(えんげ)困難となり、食欲不振になることもあります。また、それにともない脱水症や栄養不良がみられることもあります。
その他の症状としては、体の倦怠感や衰弱、頭痛や38度、もしくはそれ以上の比較的高い発熱がみられます。
たいてい、発熱は2日~3日で下がり、粘膜の症状も1週間くらいで、治ってきますが、稀に熱性麻痺にかかることもあります。
ヘルパンギーナと診断されても高熱が5日位長く続くような場合は、病院で診察を受けることをお勧めします。
また、大人がヘルパンギーナにかかった時は子供よりも症状が重く、治癒までの期間が長いと言われていますので、注意が必要です。
診断は臨床所見から診断することも可能ですが、より確定的な診断をする場合は血液検査でウイルスの抗体を確認します。
経過が短いため、治療は症状を緩和させることが目的の対症療法となります。含嗽剤や非ステロイド性の抗炎症薬が処方されます。
ヘルパンギーナは飛沫感染や経口感染をしますので、特に夏場の流行時期などには手洗いやうがいを徹底して予防するように心がけましょう。
2-2.手足口病による症状
喉の口内炎の原因の一つである、手足口病(てあしくちびょう)は、ヘルパンギーナと同様に発熱と水泡がみられ、主に夏に流行します。
しかし、手足口病の場合、ヘルパンギーナと異なるところは、口の中にできた発疹が全身、特に手や足にでてくるところです。また、発熱の程度もやや低く、ヘルパンギーナと比べて全身の倦怠感があまり見られない場合が多いのが特徴です。
手足口病は、ヘルパンギーナと同じくウイルスの感染症で、治療は主に対症療法となります。たいていの場合、症状は3日くらいで治まってきます。
2-3.溶連菌による症状
同様に喉の口内炎の原因の一つである、溶連菌(ようれんきん)は、38度以上の高熱やのどの痛み、嘔吐、倦怠感などがみられます。
溶連菌の症状は風邪にも似ていますが、舌の表面に赤いぶつぶつのようなものがイチゴ状にできるのが特徴で、「イチゴ舌」と呼ばれています。
また、手や足など全身にかゆみを伴うのも溶連菌の特徴です。年間を通してみられる病気ですが、特に冬と夏によくみられます。
原因はヘルパンギーナがウイルスの感染であることに対して、溶連菌は細菌感染です。よって、抗生剤が効果を発揮しますので、ヘルパンギーナの時のような症状を抑える対症療法ではなく、細菌を根本的に殺菌する治療が中心となります。
溶連菌の感染経路はくしゃみや、せきなどを通して感染する飛沫感染、手などに付いた細菌が、手洗い不十分などで口からうつる経口感染があります。
身近な生活環境で容易に感染しうる病気ですので、幼稚園、小学校等、お子様がたくさん集まるところで流行的に発生する可能性があります。
特に小さいお子様には、こういった病気があることを分かりやすく、丁寧に説明して、手洗いやうがいが習慣づくように親御様からサポートしてあげましょう。
溶連菌はペニシリン系の抗生剤を飲んでから24時間後には感染力がなくなりますが、病気が治ったかどうかの判断は発症から3週間後の尿検査によって行われます。
2-4.アデノウイルスによる症状
最後にアデノウイルスが原因による喉の口内炎について説明します。
アデノウイルスは、ヘルパンギーナと同じくウイルスの感染によっておこる病気です。
アデノウイルスの症状は高熱やのどの痛み、頭痛、腹痛、下痢、頚部のリンパ節の腫れ、結膜炎などがみられます。発熱は長く1週間ほど続き、37度以上で上がったり下がったりを繰り返すのが特徴的です。
ヘルパンギーナとの違いは、のどに水泡ができているかどうかによります。
感染経路は、溶連菌と同様、飛沫感染や経口感染で、昔は夏場のプールを介して流行し、一時期プール熱とも呼ばれていました。
現在はプールの塩素による消毒が徹底され、プールでのアデノウイルスの感染は見られなくなりました。
アデノウイルスは現在のところ、有効な薬はなく、ヘルパンギーナと同様に症状を抑える対症療法が主な治療となります。
まとめ
喉の口内炎は、ヘルパンギーナ等の特定のウイルス、溶連菌の細菌感染によって引き起こされます。
これらのウイルス、溶連菌は飛沫感染、経口感染で感染するため、非常にうつりやすい病気と言っていいと思います。
集団行動が多いお子様から、これらの病気から防ぐには、親御様の手洗いやうがいの習慣をつけるようサポートするのがポイントです。そして、残念ながら喉の口内炎にかかってしまった場合は、早めに病院で診察を受けるようにしましょう。
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