「アレルギー」という言葉は現在ではかなり身近なものになっています。そして人により、発症したり、しなかったりと個人差があることも広く知られています。
このアレルギーを引き起こす物質を「アレルゲン」と呼びます。
最近では、口に入れる飲食物には、成分表示の中にアレルギー反応が出やすい成分はあらかじめ明示しているのも多くなりました。
この個人差があるアレルギー反応ですが、歯磨き粉の中にもアレルギー反応をおこす成分が含まれていたりするのでしょうか。
ここでは、歯磨き粉の成分で、多くの人がアレルギー症状をおこすかどうか、他に注意しないといけないことなどを中心に説明します。
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1.歯磨き粉にアレルギー成分は入っているのか?
これまでに、歯磨き粉を使用したことが原因で、アレルギー反応が起こった例は少ないですが、複数確認されています。症状としては、口唇、歯肉、口腔粘膜、舌などが赤く腫れたり、かゆみがでてきます。
喉の奥の咽頭部にも腫れなどの症状が見られることもあり、深刻な場合は呼吸困難などの恐れもありますので、その場合は非常に危険です。
また、アレルギー反応が強い場合は、口腔内だけにとどまらず、目の周りや、全身にアレルギー症状が出てくる場合もあります。
1-1.アレルギーを持っている人は、成分をよく確認を
市販の歯磨き剤には、目的に合わせて様々な種類の成分が含まれています。
どの成分もアレルギー反応を起こす可能性がありますが、その中でも特にラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フッ素がアレルギー反応を起こす可能性が高いと言われています。
歯磨き粉を新たに購入される際には、どのような成分が入っているか、パッケージの記載を確認した方がいいでしょう。
歯磨き粉に含まれる成分として代表的なものは、
- 発泡剤(石鹸にもよく含まれているラウリル硫酸ナトリウムなど)
- 研磨剤(リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムなど)
- 保湿剤(ソルビトール、グリセリンなど)
- 結合剤(歯科医院でも使用される印象材にも含まれている、アルギン酸ナトリウムなど)
- 薬効成分(フッ化物、クロルヘキシジン、塩化リゾチームなど)
などがあります。
特に、特定の食品などにアレルギーを持っている方は、始めて使用する歯磨き剤は、一度皮膚に少しつけてみて反応をみたり、使用する量を少量から初めて、注意深く様子をみる姿勢が大切だと考えられます。
1-2.アレルギー反応以外で注意すべき成分
アレルギー反応以外の理由で、歯磨き粉に含まれている成分を懸念する声もあります。
例えば、トリクロサムは抗菌作用があり歯肉炎の予防効果がありますが、一方で癌の誘発、低胎児出産のリスクが高まると主張している説もあります。
また、ラウリル硫酸ナトリウムは製造過程において、環境に有害な化学物質が副産物としてでてきて、環境破壊の点で問題になっており、そのような強い成分を口の中に入れて、本当に大丈夫なのかと疑問を持っている学説もあります。
大量生産ができないために少し高価になりますが、懸念される成分が含まれていないオーガニック歯磨き粉なども販売されていますので、興味がある方は調べてみるといいでしょう。
2.アレルギー反応を回避して歯を磨くことはできるのか?
歯磨き粉について色々書いてきましたが、実は口の中のプラークは歯磨き粉なしでもブラッシングだけで、十分にクリーニングできる事が分かっています。
そして、プラークを十分取り除けていれば、虫歯にはなりません。
ですので、必ずしも歯磨き粉を使用しなければいけないわけではありません。
2-1.洗口剤も注意が必要
市販のリステリンや、クリニカなどの洗口剤にも注意が必要です。
洗口剤には歯磨剤と同様な成分が含まれていますが、グルコン酸クロルヘキシジンは、まれにアナフィラキシーショックが見られることが確認されており、注意が必要です。
また、多くの洗口剤はエタノールを含んでいるため、アルコールに弱い方やアレルギーがある方は、ノンアルコールタイプの洗口剤を選択した方がいいでしょう。
3.歯科治療でのアレルギー反応がでたら主治医にすぐ相談
アレルギー反応が出やすい人は、歯磨き粉だけではなく、歯科治療を受ける際にも注意が必要です。
例えば、虫歯治療に使われている被せ物や詰め物には金や銀、その他の合金が使用されています。また他にもプラスチックの材料が、詰め物や入れ歯に使用されています。
このような詰め物や被せ物を入れた後に、かゆみがでたり、口腔内のどこかに炎症が見られるようになった場合は、アレルギー症状の可能性がありますので、主治医にすぐに相談するようにしましょう。
まとめ
現在では、アレルギーを起こしやすい物質について、事前にパッチテストにてアレルギー反応がおこるか確認するので、比較的アレルギー反応のでやすいものについてはご自分でお分かりになる方も少なくありません。
しかし、中には思いもかけない物質でアレルギー反応を起こす人もいらっしゃいます。
歯科医院では、詰め物や被せ物をする前にアレルギー反応が起こるかどうか、事前にテストするパッチテストを実施している所もありますので、アレルギー持ちの方は事前に相談してみて下さい。
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