舌の表面にできた苔状の物を「舌苔」と呼びます。
舌の表面には乳頭と呼ばれるヒダ状の組織が多数存在していますが、この組織の間に詰まった食べカスや、舌の粘膜組織の死んだものなどの塊が舌苔の正体です。
この舌苔ですが、大体において白色をしていることが多く、取り除きたいと思われた方もおられると思います。
この舌苔を取り除いても良いものなのでしょうか。
取り除くとしてどのような方法が効果的なのでしょうか。
ここでは舌苔を除去していいものなのか、除去する場合、そのような方法が効果的なのかについて説明します。
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1.口臭の原因となる舌苔が舌の運動で除去可能?
舌の表面の乳頭は、体の機能、特に胃腸関係が弱っていたり、何らかの問題が起こっていると、肥大していきます。
これは、体の防御反応の1つで、味覚が弱くなり食欲を減少させ、また物理的にも食べ物が体内に入っていくのを自然に防ごうとしているわけです。
舌苔によって口臭が起こる事もありますが、口臭の原因としては他にも口腔内乾燥症、胃などの消化器系の異常、肺などの呼吸器系の異常、歯周病、重度の虫歯、口呼吸等がありますので、誤解のないよう注意して下さい。
1-1.舌苔の除去について
前述のとおり、舌苔は体の生理現象の一つなので、これを無理やり取ろうとして、舌の表面の乳頭ごと除去してしまうと、舌の表面の粘膜は大きく傷つきます。
さらに乳頭は以前よりもまして増大してきて、その結果舌苔もたくさんつきやすくなるので、そういった行為は控えたほうがいいでしょう。
舌苔を直接取り除くのではなく、舌苔がでてきている原因を解明して治す事のほうが重要です。
1-2.舌苔をできにくくする方法
消化管の調子が悪くて舌苔ができている場合は、消化管の状態が回復すれば自ずと舌乳頭の大きさも正常な状態に戻り、舌苔も少なくなってきます。
舌苔ができにくい状態とは、胃腸を始めとする体の調子を整っている他に、唾液がよく出ていて舌の表面を自然にきれいに洗っていること、舌がよく動いていて上あごにこすりつけられる頻度が高いことなどがあります。
食事の時によく噛む事で、唾液が自然と出るようになり、口の中に入れた食べ物も消化しやすい状態となり、胃腸への負担が軽くなり、舌苔ができる機会も減ってきます。
1-3.舌を意識して動かす
よく噛む以外にも、意識して舌を動かす事で舌苔を防ぐ事ができます。
舌の筋肉は全身のその他の筋肉と同様に、年を重ねるにつれて、次第に衰えてきます。
それに加えて歯の喪失から、高齢の方は徐々によく噛まなくなり、それに伴い舌の運動不足も助長していくという悪循環に陥ります。
よって、高齢者に舌苔はよく見られます。
しかし、ご自身で意識して舌を動かす事によって、舌の筋肉も維持でき、舌表面の自浄作用も期待する事ができます。
2.どんな舌運動をしたらいいのでしょうか?
前述のとおり、舌苔をできにくくする方法として舌の運動は良い方法の一つです。
様々な運動方法がメディアで紹介されていますが、いずれの方法を選ぶにしても、日々続ける事が大切です。
2-1.最初はシンプルに
舌の運動は、最初はシンプルな3ステップの方法から始めていくのが良いかと思われます。
- 最初は、口を閉じ、舌を歯の内側に沿わせるようにして10回ほど回すように動かして下さい。
- 次に、口を開け、舌を出し同様に舌を10回ほど回すように動かして下さい。
- 最後に、口を開け、舌を前方に突き出して伸ばす動作を10回ほど繰り返して下さい。
この動作を毎日行う事で、舌の筋肉は効果的にトレーニングできると言われています。
2-2.口を大きく開ける
さらに日頃から話をする時にできるだけ口を大きく開けるようにして、舌も可能な限り動かすようにし、はっきり明瞭に話をする事を実践する事によって、舌も鍛えられます。
舌のトレーニングを行う事によって、口の周囲の筋肉も鍛えられ、顔も引き締まってきて、左右のバランスもよくなってくる効果がありますので、興味がある方は試しにチャレンジしてみて下さい。
3.舌の運動による舌苔の除去以外のメリットとは?
前述のとおり、舌を動かすことで、唾液が自然と出るようになります。
さらに、食事の時によく噛む事で、舌が上あごに擦りつけられる回数も多くなり、自然と舌の表面がきれいになります。
まとめ
舌苔とついて舌の運動も含めて説明しましたが、舌苔を直接取ろうとするのではなく舌の運動、機能を上げるような方向で、舌苔ができにくい環境にしていくことをお勧めします。
日々舌をよく動かす事によって、唾の分泌も促進され食べ物も効率的に分解されるようになります。
胃腸への負担も軽減され、舌の表面も正常に保たれるような好循環を作り出すよう心がけ、実践するようにして下さい。
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