親から子へ病気が引き継がれるものに、遺伝子疾患というものがあります。
その多くは染色体の数や異常が原因で起こり、骨格や臓器が先天的に欠如したり、正常に発育しなかったりします。
そうなると、顎の関節の病気である顎関節症も遺伝するのかが気になりますよね。
ここでは、顎関節症が遺伝するかどうかや、親から子へ受け継ぎやすい性質、発症に関与するような生活習慣について詳しく解説します。
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1.顎関節症は遺伝するのか?
まず始めに、顎関節症は遺伝子疾患ではないことを知っておきましょう。
特定の遺伝子や染色体に異常が生じて発症する病気ではないということです。
ですから、「顎関節症は遺伝しない」ということができます。
ただし、顎関節症は沢山の要素が複合的に絡み合って発症する病気ですので、遺伝が関わっている部分もないわけではありません。
2.顎関節症の原因
顎関節症は1~5型に分類され、それぞれで発症原因や症状が異なります。
ここでは、顎関節症の原因について列挙していきます。
2-1.咀嚼筋の異常
ものを噛む筋肉である咀嚼筋に異常が生じることで、顎関節症を発症することがあります。
これは筋肉の使い方が悪かったり、筋肉が衰えたり、あるいは噛みしめや食いしばりといった習癖が原因となることが多いです。
これら遺伝とは何ら関係がないといえます。
2-2.噛み合わせが悪い
噛み合わせの悪さは、顎関節症の複数のタイプに共通した原因といえます。
上下の歯の噛み合わせが悪いと、顎の関節や咀嚼筋などに過剰な負担がかかってしまうため、顎関節症を発症しやすくなります。
そして、噛み合わせの悪さというのは、顎の骨格の形などが密接に関わってきますので、遺伝という要素は無関係ではありません。
2-3.加齢による変化
年をとると、顎の骨や関節円板などの組織が摩耗したり、脆くなったりします。
その結果、顎関節症を発症することがあります。
これらは遺伝によるものではなく、加齢によるものといえます。
2-4.偏った食習慣や有害な口腔習癖
顎の関節に負担をかけるような硬い食べものは、習慣的に食べていると顎関節症の原因となることがあります。
また、歯ぎしりや食いしばりなどの有害な口腔習癖も、顎関節に過度の負担がかかるため、顎関節症の原因となり得ません。
これらは遺伝とは関係ありません。
3.親から受け継ぎやすい性質とは
上述したように、顎関節症には間接的な遺伝的要素が含まれています。
最もわかりやすいのが骨格ですね。
例えば顎が比較的小さいと、歯並びが悪くなる傾向がありますので、顎関節症になりやすくなります。
骨格というのは親から子へ引き継がれるものですので、ある意味で遺伝的要素といえるでしょう。
また、女性は男性と比べて顎が小さい傾向にありますので、顎関節症を発症しやすいといえます。
その他、関節円板の形状や脆弱性、顎関節の形状などもある程度遺伝しますので、親から子へ引き継ぎやすい性質といえるでしょう。
4.顎関節症を予防する方法
顎関節症は、いわゆる遺伝子疾患ではありませんので、努力次第で予防することも可能です。
そのためには、自分がどういったリスクファクターを持っているのか自覚する必要があります。
4-1.硬いものを好んで食べない
クルミやせんべいなど、食品の中でも比較的硬いものは、あまり食べすぎないように注意しましょう。
もちろん、噛み応えのあるものを、時間をかけてゆっくり咀嚼することは、歯にも、顎にも良いことなのですが、硬すぎるものはかえって有害となります。
ですので、咀嚼筋や顎関節に痛みを感じている人は、硬いものをできるだけ避けることをお勧めします。
4-2.噛み合わせの治療を受ける
噛み合わせに異常がる人は、歯医者に相談してみましょう。
顎関節症を誘発するようなものであれば、すぐに治療を行ってくれます。
4-3.噛みしめや食いしばりを控える
ストレスがかかると、噛みしめや食いしばりをしてしまうことがありますよね。
この時、顎関節にはものすごく強い負担がかかっています。
ですから、こうした口腔習癖がある人は、意識して改善するようにしましょう。
睡眠中の食いしばりなどは、マウスピースを用いた治療もありますので、歯科医院を受診してみてください。
5.まとめ
このように、顎関節症は遺伝によって発症するものではありませんが、部分的には遺伝が関わっている複雑な病気です。
自分の顎関節が気になる人は、まず病院で診てもらうことをお勧めします。
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