歯科医院で抜歯を行うケースとしては、重篤な虫歯、異常な生え方をした親知らずの抜歯が、まず挙げられます。
歯周病での抜歯はケースとしては多くないのですが、症状によっては抜歯を行う事もあります。
では、どのような場合に歯周病で抜歯を行うのでしょうか。
ここでは、どのようなケースで、歯周病が原因で抜歯を行うのか、抜歯にかかる費用について説明します。
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1.歯周病による抜歯をする際の費用と保険適用の有無
歯周病で抜歯する場合、歯ぐきの状態が非常に悪く、歯がぐらついており、回復の見込みがない場合に抜歯するケースが多いです。
抜歯の治療費用ですが、実はケースバイケースで、抜歯をする歯が乳歯か永久歯か、前歯か奥歯か、簡単なケースか難しいケースかなどによって費用が変わってきます。
ここでいう難しいケースとは、完全に歯が出ていない場合や、横向きなどに生えている場合、顎の骨に強くくっついている場合等が挙げられます。
つまり、抜歯を行う場合、歯周病や虫歯等の病気の種類による違いで治療費用に違いが発生するのではなく、歯そのものの状態によって、抜歯の費用が決まってきます。
ですので、抜歯の費用は一概にこれくらいという費用を提示するのは難しく、保険の適用の有無も病気の種類や病状ではなく、歯の治療法で費用が変わってきます。
2.抜歯実施後の流れ
2-1.抜歯直後の処置
抜歯後はまず、止血処置を行います。
傷口を縫合したり、スポンゼルと呼ばれるスポンジ状のものを歯が抜けた穴に入れたり、出血が強い場合はレ-ザ-による止血処置を行う場合もあります。
また、歯を抜いた後に、骨の縁がとがっている場合がありますので、そういったときは尖っている部分を丸める処置を行います。
ちなみに前述のスポンゼルは1週間ほどで自然に吸収されるか、ぽろっと取れてきます。
2-2.抜歯翌日以降の処置
大体において、抜歯翌日に抜歯をした部位の消毒をおこないます。
傷口は、術後2~3日の間は腫れたり、痛みが強くでます。
その後は2週間位かけて、痛みや腫れなどの症状は次第に治まってきます。
縫合をした場合は、大体において抜歯後10日位に抜糸を行います。
しかし、まれに抜歯後の傷口が治らずに穴が全然塞がってこないという事が起こります。
これは「ドライソケット」と呼ばれ、抜歯を傷口に十分な血液が供給されないために起こる現象です。
ドライソケットが起きた場合は、抜歯をした周囲の骨に小さな穴を開けるなどして、わざと出血させ穴が血液で満たされる状態をつくります。
そうすると、穴は通常通りの治癒の経過をたどります。
その他の抜歯後に関連して行う処置は、患者様ご自身の治療計画によって様々なものがあります。
3.歯周病以外の抜歯
3-1.親知らず以外の抜歯
親知らず以外の歯を抜く場合、大体において抜いてそのまま何もしないという事はないので、次の治療に向けて抜いた歯の周りなどを処置していきます。
例えば前歯を抜くような場合は、抜いた後に仮の歯を入れる必要がでてきます。仮の歯は、治療法によって、施術の内容が異なります。
ブリッジ治療を予定されている場合は、歯を抜くのと同時に、両サイドの歯を削り、仮のブリッジを、歯を抜いた当日に入れます。
インプラントを予定している場合は、両サイドの歯にボンドで仮の歯を一時的にくっつけます。
また、歯を抜いた当日に入れ歯を入れる治療法もあります。
3-2.インプラント治療での抜歯
インプラントは顎の骨の中に人工歯根と呼ばれるものを埋めていく治療ですが、歯を抜くとその周りの骨は急激に吸収されていきます。
インプラント治療を予定している場合、骨の吸収が治療の妨げになるので、ソケットプリザベーションという、歯を抜いた周りの骨が吸収されないように、骨を再生させたり、保護する材料や膜を、歯を抜いた周りの骨に適合させたりする治療を行うケースが往々にしてあります。
ソケットプリザベーションを行う場合、大体3~6ヶ月の期間をかけ骨が安定するのを待ち、次のインプラント治療に入っていきます。
歯科医師によっては、抜歯をすると同時にインプラントを埋入するという治療法を行う方もいます。
3-3.審美治療での抜歯
審美歯科での抜歯は、インプラントと同様、抜歯後の歯の周りの骨の吸収により歯肉が下がってくるのを防ぐ治療が必要になります。
審美治療で特有な治療として、抜く予定の歯に矯正器具を付けて、数ヶ月かけて徐々に抜く予定の歯を持ち上げていくことによって、周りの骨や歯肉が持ち上がり、吸収されたりすることで、退縮する分の骨や歯肉を補てんする治療方法もあります。
まとめ
歯周病での抜歯の費用は、抜歯後の治療法に依存します。
別の言い方をすれば、一連の治療の中に「抜歯」という工程があり、費用はその一連の費用の中に含まれていると言えます。
抜歯はご自分の歯を失う処置であるため、治療全体の計画で抜歯が最善かどうか主治医とよく相談され、お互いに合意をした上で、行う事をお勧めします。
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