顎関節症と聞いて、みなさんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。
人によって様々だとは思いますが、顎関節症は大人がかかるもので、子供が顎関節症になるイメージを持たれる方は少ないのではないでしょうか。
統計をとってみると、顎関節症は確かに大人の人がかかるほうが多いです。
しかし、子供は顎関節症にかからないというわけではありません。
ここでは、子供の顎関節症に焦点を当てて、説明していきます。
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1.子供でも顎関節症になるのでしょうか?
先ほども簡単に説明しましたが、大人程高い確率ではないものの、子供でも顎関節症にかかると言われています。
顎関節症は特に20~30代の若い女性に多くみられる症状ですが、幼児期でも顎関節症の症状が出ている子供は存在し、年齢が上がるにつれてその数は増加していきます。
特に、乳歯が抜け落ち、永久歯が生えそろう中高生になるとその数は急激に増えてきます。
また、現代の日本人の顎の大きさが、小さくなってきている事が指摘されており、それが原因の一つとなり、小学生からの顎関節症は増加傾向が見られます。
2.子供が顎関節症になる主な原因はなんでしょうか?
子供が顎関節症になる原因は、大きく、歯並び自体に原因があるものと、顎関節に負担がかかりやすい生活習慣(クセ)の2つがあげられます。
2-1.歯並びが原因の顎関節症
歯並びが問題の場合ですと、上の歯と下の歯の関係が反対になっている反対咬合、上の歯が深く下の歯に被さるように見える過蓋咬合、上の歯と下の歯の中心がずれているケース、噛んだ時に前歯が完全に下の歯と接していない開咬等があげられます。
現代の食生活等の変化から、子供の顎の大きさは小さくなる傾向が見られ、歯が生えるのに十分なスペースが確保されない場合にこういった歯並びの問題がおきてきます。
また、母乳で育った子供とそうでない子供では、歯並びに違いがあるとも言われています。赤ちゃんが母乳を飲むためには強く吸う必要がありますが、この行為が顎やその周囲の筋肉を発達させ、顎の骨の成長に関係していると考えられ、母乳で育てられて子供は顎の成長が発達して、咀嚼機能が発達しますので、その後の食生活でもよく噛むようになり、ますます顎の骨が発達していくと考えられます。
2-2.生活習慣(クセ)が原因の顎関節症
顎関節への影響がよくない生活習慣の例として、以下が挙げられます。
- いつも極端に大きく口を開ける習慣がある
- 食事の際に右側、左側どちらか片方でしか噛まない
- 極端に固い物をよく噛んでいる
- 口の中にたくさんの食べ物を詰め込んで食べる
- 座っている時によく頬杖をついている
- 歯をくいしばり常に上の歯と下の歯が接している状態になっている
- 寝るときにうつ伏せで寝ているなど
上記に挙げた生活習慣を続けていると、無意識のうちに長時間、顎関節に負担をかけていることになりますので、注意して下さい。
また、顎関節症になると口を開ける時に、顎関節付近でカクンというクリック音と呼ばれる音がします。
子供が顎関節症になるとその音が面白がって、より多く口の開閉をして顎の負担を大きくすることがままあります。
もしお子様が、顎関節症にかかっている場合は、お子様に説明をきちんと行い、理解してもらうようにしましょう。
3.子供の顎関節症はどのような治療が行われるのでしょうか?
子供の顎関節症の治療法は基本的には大人と同じです。症状が軽い場合は、自然に消失する事もありますが、逆に悪化してしまう事もあります。
3-1.歯並びが原因の顎関節症治療
治療方法は歯並びが顎関節症に影響している場合は、矯正治療をして歯並びを正しい位置に戻します。
子供の場合、大人に対する矯正治療と比べて、顎の成長を促したりする装置を利用できたり、顎の成長自体も矯正治療に利用したりできますので、効率よく矯正治療を行えるという利点があります。
治療期間については治療計画によっても大きく変わりますが、大体1年半~2年位は考えておいた方がいいと思います。
場合によっては、顎の成長を待ちながら治療を行う事もありますので、さらに期間が長くなることもあります。
3-2.生活習慣が原因の顎関節症治療
まず顎関節症になる要因となっている生活習慣(クセ)の改善をはかりましょう。
お子様が御自身でできる対策は、食べ物を飲み込まずよく噛んで食べ、顎関節の成長を促すようにしたり、適度な運動をしてストレスが溜まらないような生活をすることです。
親御様は、お子様の普段からの姿勢にも気を配るようにしましょう。あとは、前述の顎関節に負担がかかるような生活習慣も改めるよう指導しましょう。
まとめ
子供の顎関節症が疑われる場合は、悪化する前に、早めに歯科医に相談するようにしましょう。
顎関節症は歯科の中でも特に口腔外科で扱われ、小児で噛み合わせが原因の場合は矯正歯科や小児歯科で治療します。
歯科医院の中には、顎関節症の治療、矯正治療を積極的に行っている先生もいらっしゃいます。
顎関節症の治療で歯科医院に行かれる場合は、事前に電話で問い合わせてから、来院される事をお勧めいたします。
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