疲れやストレスがたまると生じやすい口内炎ですが、痛みなどの症状が口腔内に出てくるだけあって、かなり厄介な病気です。
そんな口内炎には、表面に白い膜ができることがあります。
ここでは、口内炎のときにできる白い膜の正体や、できる理由、もしもそれを取った場合に何が起こるのかなどについて詳しく解説します。
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1.口内炎でできる白い膜の意味とは?
口内炎ができるとついつい舌でいじくったり、鏡でどんな形をしているのかを確認したりしますよね。
そこで気づくのが口腔粘膜に炎症が起こっているはずなのに、表面は白い膜で覆われているという点です。
この白い膜というのは専門的には「偽膜(ぎまく)」と呼ばれています。
この白い膜である偽膜は、炎症によって壊死してしまった細胞やフィブリンと呼ばれる物質が沈着したことによって生じます。
ですので、口腔内におけるかさぶたのようなものだとお考えください。
膝にできた擦り傷もそうですが、傷口がむき出しになっていると外部からの刺激が直接加わって危険ですよね。
白い膜にはそうした生体防御的な役割も果たしているため、必ずしも悪いものではないといえます。
2.口内炎の白い膜を取ることは良いことなのか、悪いことなのか
口内炎ができると、かさぶたと同じように白い膜を取りたいという欲求が出てくるかと思います。
口内炎は強い痛みを発することもあれば、かゆみのような症状が出ることもありますので、ついつい舌でいじりながらはがそうとしてしまうものです。
けれどもそれは、あまり褒められた行為ではありません。
なぜなら上述したように、口内炎の白い膜を取ることは、擦り傷のかさぶたを取ることにも近い意味合いがあるからです。
巷では、口内炎の白い膜を取ることは、口内炎の治りを早めるという噂が一部に広まっていますが、それは間違いです。
口内炎の白い膜は、無理やりはがすことはしないでください。
3.口内炎の白い膜をはがしてはいけない理由
口内炎は、口腔粘膜に炎症が生じている病気です。
細菌感染が起こっていれば、その中で細菌を殺そうと、免疫細胞たちが賢明に戦っています。
口内炎の白い膜は、そうした生体防御機構を助ける役割も果たしているため、故意に取ることは間違いだといえるのです。
具体的には、口内炎の白い膜を取ることで、炎症が生じている組織が口腔内に露出してしまいます。
口腔内には、虫歯菌や歯周病菌だけでなく、様々な細菌が生息していますので、傷口がむき出しになると、そこに新たな細菌感染が起こって、病態がさらに悪化します。
そういったことから、口内炎の白い膜を故意に取ることは間違いであるといえるのです。
4.白い膜を取ると治りが早くなるってどういうこと?
では、巷ではなぜ口内炎の白い膜を取ると、傷が治りやすくなるという話が広まっているのでしょうか。
これはかさぶたについて考えるとわかりやすいかもしれません。
私たちは膝を擦りむいた際、出血を起こしますよね。
数分もすれば血が固まり、1時間後にはかさぶたができていることでしょう。
けれども、かさぶたの下には、まだ裂けた皮膚が残っており、血球が頑張って傷口を治そうと奮闘しているのです。
さて、この状態でかさぶたを無理やりはがしたらどうなるでしょうか。
当然のことながら、まだ治癒していない傷口がむき出しになって、再び出血を起こしてしまうことでしょう。
それだけでなく、傷口が外気に触れることで、細菌感染を引き起こすことだってあり得るのです。
ただ、かさぶたができて数日経過し、その下の傷口がもうすでに治りかけている場合は話が変わります。
そうしたケースでは、かさぶたをはがしても再び出血が起こることがなく、修復された皮膚が露出するだけになるからです。
実は口内炎でもこれと同じことが言えるケースもあるのです。
つまり、もうすでに白い膜の下では傷が治っており、白い膜を取ることによって口内炎自体が早く治ったように思えるケースです。
注意しなければならないのは、こうしたケースでは白い膜を取ることで口内炎の治りが早まったわけではないという点です。
5.まとめ
口内炎でできる白い膜というのは、自然治癒の過程で重要な役割を果たしていますので、無闇に取るのはやめましょう。
状態が悪ければさらなる細菌感染を誘発し、病状が悪化することも珍しくありません。
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