親知らずは、他の永久歯と異なり、16歳~18歳頃と遅い時期に生えてくる少々特殊な奥歯の一つです。
また、親知らずは、すでに永久歯が生えそろった後に生えてくるため、問題を起こすことが多い歯でもあります。
その問題を解決するための手段の一つとして抜歯があります。ここでは、親知らずの抜歯に焦点をあてて、説明していきます。
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1.親知らずの抜歯にかかる時間はどれくらいでしょうか?
親知らずの抜歯にかかる時間は、大きな範疇では、定量的な目安を提示するのは正直難しいです。なぜかというと、以下のような様々な因子により、抜歯にかかる時間が大きく変わってくるからです。
- 親知らずの生えている方向
- 上顎か下顎か
- 患者様の骨の固さ
- 患者様がどれだけ大きく口を開けていられるか
- 患者様の麻酔の効き目等
歯科医師の技量も治療時間に関係してきますが、正常に生えているケースの抜歯では、それほど歯科医師の技量で時間の差は出ないと思います。
1-1.上顎の親知らずの抜歯
上顎で親知らずが正常な方向に生えている場合は、麻酔が効いて抜歯の処置を始めてから大体5~15分くらいで抜歯が完了すると思います。上顎は下顎に比べて、顎の骨が平均的に柔らかいので、比較的抜きやすいケースが多いです。
上顎では親知らずが異常な方向に位置していても歯肉の痛み、腫れなどの症状が出るのは、下顎に比べて比較的少ないために、抜歯をせず経過観察ですませるケースもあります。
1-2.下顎の親知らずの抜歯
下顎の親知らずの抜歯は顎の骨が固いため、正常な生え方をしていても上顎よりも少し多く時間がかかるケースが多いです。ただ、正常な生え方のケースでは抜歯を始めてから大体5~20分くらいで歯が抜けるケースが多いと思います。
下顎で横に親知らずが生えている場合ですが、これも親知らずの生えている方向、大きさ、下顎神経と呼ばれる大きな神経の位置に加えて前述した様々な要因が関係してきますので、抜歯に要する時間にもばらつきがあります。
大体の目安でいいますと、早くて30~40分、平均で1時間強、難抜歯になってくると2時間位かかるケースもあります。
下顎の親知らずの近くには下顎神経と呼ばれる大きな神経があり、その神経と親知らずの距離が近ければ近い程、抜歯が難しくなってきます。
また、下顎で横に親知らずが生えている場合では、歯肉を切開しますので、歯肉からの出血の量も術式の難易度に影響してきます。当然出血が少ない場合は、抜歯もやりやすくなります。
1-3.親知らずに異常がある場合の抜歯
親知らずが虫歯で等ボロボロの状態になっている場合、器具で親知らずを捕まえる事が難しくなるため、長時間かかってしまいます。
特に親知らずが下顎、横向きに生えている、虫歯になっている等の条件が重なると、抜歯に要する時間はさらに長くなると思われます。
2.横に生えている親知らずの抜歯は具体的にどうやっていくのでしょうか?
横向きに生えている親知らずは、そのままでは親知らずを器具で捕まえることができないので、まず歯肉を切開して、親知らずの部位を開いた状態にします。
次に多くのケースでは、親知らずの頭が隣の歯にひっかかっていますので、横に生えている親知らずをバーなどで分割して、歯の頭の部分と根の部分をそれぞれ抜いていきます。
歯を抜くときに使う道具には大きく2つあり、2つのくちばしのような物で歯を掴んで抜いていく器具と、先がスコップみたいになっていて、ちょうど芋などを土から掘り上げるように、テコの要領で歯を抜いていく器具があります。
横向きに生えている親知らずは、大体後者の器具を歯と骨の間の隙間に挿入して抜いていきます。歯が完全に抜けた後は、開いた歯肉を閉じて縫合で治療を終えます。
親知らず3.親知らずの抜歯に入院は必要なのでしょうか?
通常の親知らずの抜歯、横に生えている場合でも一般の歯科医院で処置をするような場合は、入院はしないで日帰りのパターンがほとんどです。
よほど難しい抜歯のケースや、一度に数本親知らずを抜く場合、全身疾患を患っていて血が止まりにくい患者様、精神疾患のため通常の歯科治療を受けられない患者様等の場合は、大学病院などで全身麻酔または笑気麻酔の元、親知らずの抜歯を行う事があります。
その際は、大体1日の入院が必要になりますが、場合によっては、2~3日の入院になる場合もあります。
抜歯4.抜歯後に適さない食べ物はありますか?
抜歯後には、親知らずが生えていた場所とその周囲はいわゆる傷口になっていますので、直接そこで固い物などを噛むと傷口が痛んでしまいます。
最初は、チョコレートや生野菜など固形物は避けて、スープやおかゆなどできるだけ柔らかい物、野菜やお肉などもできるだけ細かく切り刻んだものを食べるようにして下さい。
熱いスープなどは刺激が強く傷口が痛んでしまいますので、冷ましてから食べるか、もしくは冷製スープにする方がいいでしょう。
また、カレー等の刺激物も傷口にはよくありませんので、傷口が治ってくる2週間くらいの間は、避けたほうが良いでしょう。
まとめ
親知らずの抜歯に焦点を当てて、さまざまなケースについて説明しました。
親知らずの抜歯については、事前に、歯科医師と相談し、自分の親知らずがどのように生えていて、治療は簡単に行えるのか、注意する事はないのかなどの疑問点を明確にしましょう。
事前の説明を受けて、抜歯の方針が固まった後に、抜歯治療を受ける事をお勧めいたします。
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