カリソルブは、歯を削らずに虫歯を治せるため、初めて聞く方には画期的な治療法に感じると思います。
しかし、どんな医療にも必ず問題点、課題というものは存在しており、カリソルブも例外ではありません。
ここでは、カリソルブの安全性、問題点、課題などを説明します。
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1.カリソルブの安全性について
本来、ドリルで削るはずの病巣部を、薬剤で溶かすのですから、本当に安全なのかが気になりことと思います。
カリソルブの成分は3種類のアミノ酸と次亜塩素酸ナトリウムで構成されていますので、濃度調節や取扱いを誤らなければ、危険性はありません。
また、カリソルブの薬剤は、虫歯にかかった歯質のみに作用するよう作られていますので、健康な歯の部分にダメージを与える恐れもないのです。
そして、カリソルブは、2007年に厚生労働省から認可を受けた治療法ですので、その安全性は国が保証していると言えます。
2.カリソルブの問題点と課題
2-1.適用できる虫歯が限られている
歯を削る際の痛みがないカリソルブですが、全ての症例で適用できる治療法ではありません。
カリソルブは、比較的進行度の低い虫歯にのみ適用されることが多いです。
具体的には、C1やC2と呼ばれる虫歯です。これらは病変が、歯の表面を覆っているエナメル質と象牙質で止まっている状態の虫歯です。
C3以降の神経にまで虫歯が到達してしまっているケースでは、カリソルブは残念ながら適用できません。
カリソルブで使用される薬剤は、健康な歯の部分に対して悪影響はないですが、歯の神経に対しては炎症などのトラブルを引き起こすことがあります。
そのためカリソルブには、進行した虫歯に対しては安全性が保証されていないという欠点があります。
2-2.治療時間が長くなる
カリソルブのデメリットとして、治療時間が長くなるという点が挙げられます。カリソルブは薬剤を紙面に塗布して、虫歯になった部分を溶かし、それを器材で取り除くという作業を何度か繰り返します。
これが一般的な虫歯治療であれば、ドリルを使って虫歯になっているエナメル質や象牙質を削り落としていくので、短時間で治療が終わります。
とにかく1秒でも早く虫歯治療を終わらせたという方には、カリソルブは不向きといえるかもしれません。
2-3.虫歯の状態によってはドリルで削ることもある
カリソルブのメリットに、ドリルを使わずに虫歯を治せるというポイントがありますが、実は虫歯の状態によっては、ドリルで歯を削らなければならない場合があります。
例えば、虫歯によって歯質に穴が空いていて、カリソルブの薬剤を作用させにくい状態であれば、まずはドリルで病変部を大きく開くこともあるのです。
もちろんこの場合は、通常の虫歯治療ほどドリルで歯を削ることはしませんが、ある程度の痛みや不快感を覚える可能性は出てきます。
歯科治療による痛みや不快感を回避するためにカリソルブを選んだのに、結局歯を削ることになってしまうのは、カリソルブが持つジレンマの一つと言えるでしょう。
2-4.保険が適用されない
カリソルブは保険が適用されないため、完全な自費診療となります。
つまり、治療にかかる費用の全額を患者さん自身が支払うため、自ずと治療の総額も高くなります。
ですので、治療費を安く抑えたいという人にとっては、保険適用されないのは大きな問題点といえます。
まとめ
歯を削らずに虫歯を除去できるカリソルブですが、メリットが大きい分、デメリットもいくつか大きなものが存在しています。
そもそもカリソルブを適用できない症例があったり、通常の歯科治療よりも処置にかかる時間が長くなったりと、あまり知られていない問題点もいくつか挙げられます。
特に、カリソルブであってもドリルを使って歯を削らなければならないケースもあるというのは、知っている人も少ないのではないでしょうか。
一見すると、万能に思えるカリソルブ治療ですが、痛みや不快感が少ないという大きなメリットがある反面、それなりの欠点やデメリットもあることを知った上で、カリソルブで治療するかどうか、判断されてみてはいかがでしょうか。
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