普段、何気なく行っている歯磨きですが、実はかなり繊細で複雑な手の動きを必要とします。それだけに、高齢者や介護を必要としている方は、なかなか上手に歯を磨くことができません。
そこで、是非とも利用したいのが、高齢者や介護を必要とされている方向けの歯ブラシです。
ここでは、高齢者や介護を必要とされている方向け歯ブラシの種類や使い方、高齢者の口腔内にはどんな特徴があるのかについて説明します。
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1.高齢者や要介護者の口腔内の状態
1-1.唾液分泌量と免疫力が低下している
私たちの口の中には、常に多くの細菌が存在しています。
空気や食べ物から口の中に入り込むこともあれば、すでに口腔内で繁殖をしている場合もあります。
けれども、若い人であれば、唾液の分泌が盛んであり、免疫力も高いため、虫歯や歯周病にかかりにくい傾向にあります。
一方、高齢者や要介護者は、唾液の分泌が低下していることが多く、口腔内に存在する細菌を排除しにくい状態にあります。ですから高齢者や要介護者というのは、使用している歯ブラシの種類以前に、もともと虫歯や歯周病にかかりやすい傾向があるということをあらかじめ知っておく必要があります。
1-2.手先を細かく動かすことができない
高齢者や要介護者は、健常な若年者と比べると、手先を細かく動かすことが難しくなっています。
もちろん、高齢者や要介護射であっても、歯ブラシを持って大まかに歯を磨くことはできますが、歯と歯の間や、歯と歯茎の境目等、細かい部分を適切な方法で磨くことは難しいと思います。
虫歯や歯周病というのは、磨き残しが原因で発症する病気です。病気によって手に麻痺がある要介護者は、普通の歯ブラシを使っても、きちんと歯垢を落とすことができませんので、虫歯や歯周病にかかるリスクはどんどん上がります。そのため、高齢者用あるいは要介護者向けの歯ブラシが必要となっているのです。
2.高齢者や要介護者に適した歯ブラシの種類
2-1.360°歯ブラシ
高齢者や要介護者向けの歯ブラシに、360°歯ブラシというものがあります。
この歯ブラシは文字通り、歯ブラシの先端の周囲360°すべてに毛が配置されているものです。
ちなみに皆様が普段使用されている歯ブラシは、1面にのみブラシが配置されています。360°歯ブラシは、文字通り360°全面にブラシが配置されているので、高齢者や要介護者でも磨き残しを少なくすることができるのです。
2-2.スポンジブラシ
高齢者や要介護者は、筋肉の衰えや病気による麻痺で、歯を磨く力を加減することが難しくなっています。
そのため、普通の歯ブラシを使うと、強く磨き過ぎて歯や歯茎を傷つけてしまうことも珍しくはありません。逆に、高齢者や要介護者が普通の歯ブラシを使うと、磨く力が弱すぎて、なかなか歯垢などの汚れが落ちないというケースもあります。
そこでお勧めなのが、スポンジブラシです。
スポンジブラシとは、スティックの先端にスポンジが装着された歯ブラシで、高齢者や要介護者の歯磨きに活用されています。通常の歯ブラシでは、先端に硬い毛が配置されていますが、スポンジブラシは文字通り軟らかいスポンジが装着されていますので、多少強い力で磨いても、歯や歯茎を傷つけることがありません。逆に高齢者や要介護者が弱い力で磨いても、比較的簡単に汚れを落とすことが可能となっています。
それに加えて、スポンジブラシであれば、舌や頬の内側の粘膜など、軟らかい組織の汚れも落とすことができます。とりわけ舌の表面には、舌苔と呼ばれる汚れがたまりやすいので、高齢者や要介護者はこのスポンジブラシを活用することをお勧めします。
3.その他の歯磨き用具
高齢者や要介護者は、上述したような歯ブラシだけなく、液体歯磨き粉や洗口剤などの口腔ケア用品も併せて使用することが望ましいです。
上述の360°歯ブラシやスポンジブラシなどは大変優れた清掃器具なのですが、高齢者や要介護者の運動機能が低下している場合は、それでも磨き残しが生じる可能性があるからです。
まとめ
口腔内が不衛生になると、虫歯や歯周病だけでなく、肺炎などの全身疾患も引き起こすリスクが高まりますので、今回ご紹介した360°歯ブラシやスポンジブラシなどの高齢者用あるいは要介護者向けの歯ブラシと液体歯磨き粉や洗口剤などの口腔ケア用品を併用して最大限活用することをお勧めします。
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